日本ではほとんど見かけることのないジャイアントシュナウザー。
シュナウザーと言えば日本ではミニチュアシュナウザーが人気で、これは小型犬ブームの今当然のことかもしれません。
ジャイアントシュナウザーは、立ちあがると成人女性の身長と同じくらいの大きさでとても迫力がある犬種です。
今回は、このジャイアントシュナウザーの性格やしつけのポイント、価格、気になる病気について詳しく見ていきたいと思います。
Contents!
ジャイアントシュナウザーってどんな犬?
ジャイアントシュナウザーはドイツ原産の大型犬です。
シュナウザー種は、“ミニチュア”“スタンダード”“ジャイアント”の3種に分けられますが、いずれも古くから使役犬として用いられていました。
“ミニチュア”と“スタンダード”は主にネズミなどの狩猟に用いられていましたが、牛などの家畜を追いかける牧畜犬として活躍できる大型種を作り出す目的で生み出されたのが“ジャイアントシュナウザー”です。
ジャイアントシュナウザーは、スタンダードシュナウザーをベースとしてグレート・デーンやブービエ・デ・フランドル、さらにはロットワイラーなどと交配して生み出されました。
その結果、大型化しただけでなく力強さも増すこととなり、牧畜犬として大いに活躍しました。
さて、ジャイアントシュナウザーは作出された当初、ミュンヘンにいたことから“ミュンヒナー”と呼ばれていました。
しかし、徐々に個体数が減少していくことを心配した愛好家が、当時人気犬種であった“シュナウザー”の名前を使用して“ジャイアントシュナウザー”と呼び始めたことから定着していったのです。
長い間ミュンヘン近辺において牧畜犬として活躍してきたジャイアントシュナウザーですが、19世紀に入って鉄道が普及すると牛追いの仕事がなくなってしまいました。
その後は力強さと警戒心の強さを買われ、工場やお店の番犬として活躍していくこととなります。
また、第一次世界大戦では警察犬として、第二次世界大戦では軍用犬としても活躍しました。
現在では、番犬や警察犬、災害救助犬としてだけではなく、かっこいい外見からショードッグとしても活躍しています。
体の特徴
それでは、ジャイアントシュナウザーの特徴についてみていきましょう。
ジャイアントシュナウザーは大型犬に分類されており、オスメスともに体高が60~70cm程度、体重が30~45kg程度になります。
横から見ると正方形に近い体形をしており、筋肉質でがっしりとしています。
シュナウザー種の特徴である長い眉毛や口ひげ、顎ひげも魅力の一つです。
被毛についてはダブルコートで、針金のように硬くカールしている上毛と柔らかく密生した下毛から成るため、厳しい環境にも適応することができます。
毛色はブラックとソルト&ペッパーの2種類のみで、ブラックのほうが主流のようです。
因みに、ミニチュアシュナウザーの毛色は4種類が認められており、スタンダードシュナウザーはジャイアントシュナウザー同様ブラックとソルト&ペッパーの2種類です。
寿命
なお、ジャイアントシュナウザーの寿命は12~15年と、比較的平均的な寿命と言えるでしょう。
性格
次に性格についてですが、ジャイアントシュナウザーは穏やかで愛情深い犬種で、飼い主への忠誠心も強いです。
また、非常に頭が良く物覚えも早いです。
落ち着いた性格ではありますが、警戒心や独立心が強く自らの考えで行動することができるため、まさに警察犬のような使役犬に適していると言えるでしょう。
一方で遊び好きな一面もあり、子どもとも仲良く接することができます。
そういったことから家庭犬としても人気が出ています。
ジャイアントシュナウザーの価格やブリーダーは?
もし、ジャイアントシュナウザーを飼育してみたいという場合は、専門のブリーダーから購入することができます。
日本ではまだまだ希少な犬種なので、ペットショップで販売されることはまずありません。
ブリーダーの数自体も少ないので、ヨーロッパなどの海外から輸入するケースも多いです。
そのため子犬の価格は高く、20~40万円程度はかかると考えて良いでしょう。
子犬の価格だけでなく、保険やワクチンの料金も発生することを忘れないでください。
近年ではインターネット等で気軽に検索ができるので、気になるブリーダーを見つけたら早めに連絡をとってみると良いでしょう。
ただ、いくら数が少ないと言っても、病気の心配がある子犬を購入しないように気をつけてくださいね。
飼育にかかる費用
ジャイアントシュナウザーは大型犬なので、飼うための設備や餌代などの費用が他の犬に比べると高額になってしまいます。
具体的な費用例としては、
・ケージ...20,000~100,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー10,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・トリミング代...1回6,000~10,000円
・餌、おやつ代...毎月15,000~30,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった際も大型犬の医療費は高額になりがちですので、費用面でもよく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
しつけのポイント
しつけに関しては、賢く物覚えも早いことからそれほど大変ではないでしょう。
とはいえ、体が大きく力も強いため、しっかりと飼い主が制御できる関係性にしなければなりません。
幼犬のうちから服従訓練を徹底して行い主従関係を築き上げ、社会性も身につけさせておきましょう。
甘やかせてしまうと支配欲の強い性格になってしまうため、ある程度犬の飼育に慣れている方が飼育することをおすすめします。
飼育する際の注意点
さて、無事ジャイアントシュナウザーを購入できた場合、飼育にあたってどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
飼育スペース
まず、ジャイアントシュナウザーは大型犬のため、飼育を開始する前にきちんと十分な飼育スペースを確保するなど環境を整えておく必要があります。
近隣住民への影響も考えると、集合住宅での飼育は避けたほうが良いかもしれません。
運動量
次に、運動量についてですが、ジャイアントシュナウザーは運動能力も高いため、毎日十分に運動させる必要があります。
散歩は1日2回、1時間程度を目安として行いましょう。
散歩だけでなく引き運動や知恵を使う遊びを取り入れると良いでしょう。
運動不足によりストレスを溜めこむと、問題行動や病気の原因となります。
家族で協力しながらいろんな遊びを取り入れていきましょう。
被毛のお手入れ
被毛のお手入れ方法ですが、ジャイアントシュナウザーは毛が長いため週2~3回程度のコーミングを行い、月に1回はシャンプーも行ってください。
また、3ヶ月に1回はトリミングを行ってあげましょう。
また、口ひげや顎ひげは食事の後に汚れやすくなるので、こまめに拭いて清潔を保ってあげてください。
愛犬の被毛を美しく保つためには、飼い主が愛情を持ってお手入れすることが大切なのです。
ジャイアントシュナウザーがかかりやすい病気
ジャイアントシュナウザーは比較的丈夫な犬ですが、最後にジャイアントシュナウザーがかかりやすい病気についても触れておきたいと思います。
股関節形成不全
ジャイアントシュナウザーは大型犬ということから、股関節形成不全にかかりやすいと言われています。
股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤を結合させる股関節の形が異常である状態です。
子犬の頃は目立った症状がなく、成長とともに異常が見られ病気に気づくことが多いようです。
股関節形成不全になると、
・後ろ足をうまく折たためない、スキップやウサギ跳びのような動き、歩行時に腰が左右に揺れる
といった症状が見られます。
床が滑るなど飼育環境が悪い、肥満気味といった理由から発症することも多いので、子犬の頃うちから予防に努めましょう。
毎日十分に運動させて筋力をつけることも大切です。
もし愛犬が動きたがらない、歩き方がおかしいといった異常行動が見られた場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。
皮膚疾患
他にも、アトピー性皮膚炎といった皮膚系トラブルにも気をつけなければなりません。
長毛種は通気性が悪いので、日頃のお手入れを怠ると炎症を起こしてしまうのです。
特に高温多湿な夏場は注意しましょう。
アトピー性皮膚炎は一度発症してしまうと治療が長期化する恐れがあります。
少しでも
・皮膚のべたつき、皮膚からの異臭、脱毛、かゆみ、大量の鱗屑やフケ、皮膚を過剰に掻き毟る
といった異常がみられたら、すぐに動物病院で診てもらうようにしてください。
被毛のお手入れも怠らずに気をつけていきましょう。
外耳炎
ジャイアントシュナウザーは垂れ耳のため、耳の中が蒸れて雑菌が繁殖しやすくなります。
そのため、外耳炎にもなりやすいです。
定期的に耳の中もお掃除して清潔を保ちましょう。
もし、
・耳が赤く腫れている、異臭がする、ベタベタした耳垢が多い
ようなことがあれば、早めに動物病院へ行きましょう。
まとめ
ジャイアントシュナウザーはドイツ原産の大型犬で、体高65cm体重40kgほどの大きさになります。
非常に頭が良くて物覚えも早く、穏やかで愛情深い落ち着いた性格です。
まだまだ日本では馴染の少ないジャイアントシュナウザー。
シュナウザー種を飼育したいという場合は、やはり小型のミニチュアシュナウザーに興味を持ってしまうかもしれません。
大型犬を飼育するとお手入れが大変なだけでなく、食事代など経済的にも大きな負担を強いられることになります。
そう考えると、日本でジャイアントシュナウザーの人気が出る日はまだまだ訪れないでしょう。
ただ、大型犬には大型犬の魅力があります。
落ち着いていて警察犬として用いられるほどの賢さを持つジャイアントシュナウザー。
一度は彼らに家族を守ってもらうのも良いかもしれませんね。