かつて中国において闘犬、番犬として飼育されていたシャーペイ。
今ではブサカワ犬として世界中で愛されているシャーペイですが、実は様々な歴史を経て今日に至っています。
日本における登録数は2017年でわずか5頭とほとんど飼育されていない状況ですが、ブサカワ犬としてご存知の方も多いかもしれません。
今回は、このシャーペイの性格や特徴、値段やブリーダー、気になる病気などについて詳しく見ていきたいと思います。
Contents!
シャーペイってどんな犬?
シャーペイは中国原産の犬で、紀元前200年頃から南部の広東省あたりに存在していたと考えられています。
“シャーペイ”とは中国語で“沙皮”と書き、これは砂のようにザラザラした毛皮を意味すると言います。
シャーペイは、中国において番犬や闘犬、作業犬、猟犬として活躍し、食用犬としても利用されていました。
彼らの祖先犬については不明ですが、同じく中国原産であるチャウチャウと外見が似ているだけでなく舌が青紫色であるという共通点を持つことから、チャウチャウと近縁なのではと考えられています。
1949年、中国が中華人民共和国となるにともない、“犬の飼育はぜいたくだ”という思想から、シャーペイを含む飼い犬たちは大量に殺処分されてしまいました。
同時に、犬たちの歴史的な記録も処分されてしまったため、シャーペイに関する歴史ももちろん分からなくなってしまったのです。
思想の変化によって一気に絶滅の危機に瀕してしまったシャーペイですが、香港に持ち出されていたわずか数十頭のシャーペイをもって絶滅を阻止すべく繁殖が始まります。
そして1973年、香港のブリーダーがシャーペイの危機的状況を世界に発信したところ、それがアメリカの愛犬家の目に留まることとなりました。
そこからシャーペイのアメリカへの輸入が始まって繁殖が盛んに行われたことにより、1974年にはアメリカで犬種登録されたのです。
現在では、アメリカのみならず世界各国で希少性と独特の見た目からシャーペイの人気が高まり、高値で取引される高級犬として愛されています。
体の特徴
それでは、シャーペイの特徴についてみていきましょう。
シャーペイは、オスメスともに体高が46~51cm程度、体重が18~25kg程度で中型犬に分類されています。
筋肉質でがっしりとした体形をしており、大きな頭部、短吻、大きな口、小さな目、垂れ耳、背中まで巻き上がった尻尾が特徴です。
また、先ほども述べたとおり舌が青紫色をしています。
そして、最大の特徴はシワシワの見た目です。
体のシワは幼犬時のほうが多く、幼犬の頃は顔だけでなく体全体の皮膚がシワで覆われています。
それが成長とともにシワが減り、頭部や首周り、肩以外は目立たなくなります。
ただ、皮膚は柔らかいため引っ張ると伸びます。
因みに、名前の由来で述べたとおり、シャーペイの皮膚は砂のようにザラザラしています。
シャーペイのあまりに特徴的な姿から、犬種図鑑の編集を行ったデズモンド・モリスは、シャーペイを“耳は貝殻、鼻は蝶の羽根、頭はメロン、顔は老人、首は水牛、臀は馬、肢は龍”と表現しています。
シャーペイの被毛については基本的に短毛ですが、長さにはホースコート、ブラッシュコート、ベアコートの3種類があります。
ホースコートが最も短くチクチクした触り心地、ブラッシュコートは少し長い2.5cmほどの長さでベアコートは2.5cm以上の長さでフワフワしています。
被毛の長さによって少々お手入れの手間が変わってくるので、購入の際は好みの種類を選ぶようにしてください。
毛色はブラック、ブラウン、レッド、クリーム、フォーンなどさまざまな単色がありますが、ホワイトの単色については認められていません。
また、斑やスポットについても好ましくないとされています。
寿命
シャーペイの寿命については、平均8~10年と言われており、他種と比べると短命の傾向にあるようです。
性格
次に、シャーペイの性格についてご説明します。
シャーペイは穏やかで大人しく、家族に対して深い愛情を示してくれます。
知らない人間や犬に対しては警戒心が強く闘争心もありますが、基本的に冷静なので突然襲いかかったりすることはありません。
お散歩やドッグランに行く際は注意が必要ですが、番犬としては適していると言えるでしょう。
シャーペイは独立心が強くプライドが高い一面もあるため、初心者には飼育しにくい犬種かもしれません。
ただ、時間をかけて信頼関係を築くことができれば忠誠を尽くしてくれるでしょう。
遊び好きでもあるので、家族とは明るく楽しい時間を過ごすことができると思います。
シャーペイの性格はオスとメスでも若干の違いがあり、オスは冷静、メスは明るく人懐っこい傾向にあるようです。
シャーペイの値段やブリーダーは?
多少の気難しさはあるものの、独特な見た目はとても魅力的ですよね。
もしシャーペイを飼育したいという場合は、専門のブリーダーから購入することをおすすめします。
ただ、日本では馴染がないためブリーダーが少なく出産頭数も少ないです。
そのため、子犬の価格は30~40万円と高額です。
専門のブリーダーを探すのも大変ですが、希望する子犬を手に入れるタイミングも難しいと思います。
ブリーダーを見つけたらできるだけ早くコンタクトをとり、希望の子犬について相談しながら早めに予約しておくと良いでしょう。
ただ、購入前に子犬の健康状態をしっかり確認することを忘れないでくださいね。
シャーペイのブリーダー情報はこちら!⇒https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=321shapei
飼育にかかる費用
では、シャーペイを飼育していくにはどれくらいのお金がかかるでしょうか?
ざっくりとした目安例としては、
・ケージ、サークル...10,000~30,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー6,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌、おやつ代...毎月10,000~20,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
・寒さ対策用品(ベッド、ヒーター、湯たんぽ、服など)...10,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、骨折などのケガや病気をしてしまった時や避妊手術を受ける際は、その時々で治療費もかかります。
長い目で見た費用面でも、よく考えたうえで飼うようにしましょうね。
しつけのポイント
まず、シャーペイは独立心が強いため、主従関係を明確にする必要があります。
飼い主をリーダーとして認めない場合は、自分がリーダーと思い込み言うことを聞かなくなってしまいます。
幼犬の頃から毅然とした態度で接し、服従訓練を徹底しましょう。
また、警戒心を少しでも和らげるため、幼犬のうちからいろんな人間や犬と接して社会性を身につけさせてください。
しつけさえしっかりできれば、飼育しやすい犬となるでしょう。
飼育する際の注意点
さて、無事シャーペイを家族に迎え入れることになったとして、どのような点に注意しながら飼育すれば良いのでしょうか。
運動
シャーペイは非常に体力があるため、毎日十分な運動をさせる必要があります。
散歩は1日2回、30分以上行ってください。
時にはドッグランなど広い場所で走らせてあげるとストレス発散になりますが、闘争心があるためいざという場合は飼い主がしっかりと制御できる関係性であることが大前提です。
自信のない方は、他種の犬が多く集まる場所は控えたほうが良いでしょう。
被毛のお手入れ
被毛のお手入れについては、シワがある分少々大変です。
ブラッシングは週1~2回程度で十分ですが、ブラシが皮膚に引っかかって傷になってしまうことがあります。
ブラッシングに使用するのは金属製ではなく、ゴム製のブラシにすると良いでしょう。
また、シワとシワの間に汚れやゴミが溜まりやすいので、濡れタオルなどでシワの間を優しく拭いてあげてください。
お手入れを怠ると皮膚病を発症することがあります。
シワの多い幼犬時は、特に注意しながらお手入れしてくださいね。
寒さに弱い!
そして、シャーペイは短毛ということもあり寒さに弱い犬種なので、基本的に室内で飼育してください。
温度管理のできる室内で、快適に過ごせるよう配慮してあげましょう。
ドッグフード
最後に、シャーペイは大豆に対する耐性がありません。
大豆を分解する酵素の働きが弱く、消化がうまくできないのです。
愛犬のドッグフードを選ぶ際は、原料表記をしっかりと確認するようにしましょう。
シャーペイのかかりやすい病気
ここで、シャーペイのかかりやすい病気についても触れておきます。
シャーペイは絶滅の危機に瀕した際に近親交配が行われたこともあり、遺伝性疾患が多い傾向にあります。
眼の病気
特に発症しやすいのは眼の病気で、緑内障、眼瞼内反症、チェリーアイ、乱生まつげの4つが挙げられます。
初期段階で治療を始めれば進行を抑えることができるので、常に愛犬を観察し、
・愛犬の目が赤くなったり、目ヤニや涙が増える、目全体が膨らんできた、目が濁って見える、物によくぶつかる、頻繁に目をこする
といった症状が見られたらすぐに動物病院で診てもらってください。
病気によっては外科手術が必要なものもあり、緑内障に関しては悪化すると失明する可能性もあります。
早期発見のためには、日頃から目のケアを怠らないだけでなく眼科検診も定期的に行うことが大切です。
皮膚疾患
シャーペイは他にも、皮膚疾患にかかりやすいと言われています。
特に、アトピー性皮膚炎、全身性毛包虫症、突発性皮膚ムチン症を発症しやすいです。
全身性毛包虫症とは、二キビダニが毛包及び皮脂腺に寄生して発症する病気です。
突発性皮膚ムチン症とは、シワの中に含まれるムチンが大量に作られることによってかゆみや脱毛といった症状があらわれる病気です。
一度皮膚病を発症すると治療が長引くことが多いので、少しでも
・皮膚のべたつき、皮膚からの異臭、皮膚の化膿、脱毛、かゆみ、赤み、大量の鱗屑やフケ、皮膚を過剰に掻き毟る
といった異常がみられたら、すぐに動物病院で診てもらうようにしてください。
できるだけ発症を防ぐためにもシワの間を清潔に保つように心がけましょう。
家族性シャーペイ熱
そして、シャーペイには家族性シャーペイ熱という病気もあります。
これは劣勢遺伝の自己炎症性疾患で、
・原因不明の発熱、下肢や関節などの腫れ、原因不明の下痢や嘔吐、倦怠感、貧血、呼吸困難
といった症状があらわれます。
詳しいことは分かっていませんが、ストレスが原因で発症すると考えられているようです。
いずれにしても、少しでも愛犬に異常が見られた場合はできるだけ早く動物病院を受診してください。
短頭種気道症候群
短頭種気道症候群とは、短頭種に多く見られる呼吸器系の病気の総称です。
マズルが短いことにより鼻から咽頭部までの上部気道が狭くて圧迫されやすくなるため、呼吸困難な状態になってしまう事があるのです。
短頭種気道症候群の主な症状には、
・運動を嫌がる、いびき、激しい呼吸、呼吸困難、失神
が挙げられます。
運動していなくてもゼイゼイ言いながら呼吸することがあり、短頭種の犬は普段から強い力で呼吸をする傾向にあります。
軟口蓋過長や鼻腔狭窄といった異常が見られ生活に支障が出る場合には、外科的手術も検討する必要があります。
短頭種である限り起こりえる症状なので、それを理解したうえで飼育するようにしてください。
まとめ
シャーペイは中国原産の中型犬で、体高48cm体重22kgほどの大きさになります。
冷静でおとなしい性格ですが、独立心が強くプライドが高い一面もあるため、初心者には飼育しにくい犬かもしれません。
日本ではほとんど飼育されていないシャーペイ。
ブサカワ犬として人気があるとしても、恐らく犬を初めて飼うという方が選ぶ犬ではないでしょう。
しかし、もし飼育を始めたとしたら、その独特の見た目に家族が癒されるだけでなく、周りの方々の注目も浴びることでしょう。
ただ、性格的に飼育しにくいということは確かです。
シャーペイに興味が湧いて飼育してみたいと考えている方は、まずいろんな犬を飼育して経験を積んでから挑んだほうが良さそうです。