世界中の愛犬家に好まれているシーリハムテリア。
シーリハムテリアは自然交配種ではなく、イギリスのある人物が自分好みの犬を作り出そうとして生み出された犬種です。
日本では、2017年における登録数は15頭とほとんど馴染がない犬種ですが、少しずつ登録数は増えてきている状況です。
今回は、このシーリハムテリアの性格や特徴、価格やブリーダー、気になる病気などについて詳しくみていきましょう。
Contents!
シーリハムテリアってどんな犬?
シーリハムテリアはイギリスのウェールズが原産で、19世紀中頃、ジョン・エドワーズ氏が自分の理想とする優れた能力を持つ猟犬を作り出す目的で作出されました。
“シーリハムテリア”とは、エドワーズ氏がウェールズのシーリハムに住んでいたことから名づけられました。
極秘に進められたため何の犬種をかけあわせて作出されたかは不明ですが、子犬の頃から闘争心を試すテストを行い、弱い犬は容赦なく処分するという間引きを行い続けました。
そして彼の理想どおり、闘争心があり恐れ知らず、勇敢、そして状況判断力に優れた犬を生み出すことに成功したのです。
多くの子犬が犠牲になったためエドワーズ氏を嫌い犬種廃止の動きが見られた時期もありました。
しかし、狩猟能力の高い犬ということで重宝されたため、淘汰を行わないことを条件として犬種を残すこととなったのです。
キツネやイタチなどの狩猟犬として活躍し続けたシーリハムテリアですが、エドワーズ氏の死後、1903年にはドッグショーに出場して注目を浴びました。
その後、ショードッグ用としての改良が進められるようになりますが、元々のテリア気質も残すべきという意見もあり、繁殖の際に猟犬としての特徴も残していくことが決められました。
現在は世界各国に輸出され、ショードッグや猟犬、家庭犬として幅広く愛されています。
体の特徴
それでは、シーリハムテリアの特徴についてご説明します。
シーリハムテリアは、オスメスともに体高が25~30㎝程度、体重が8~9kg程度で小型犬に分類されます。
一般的にメスのほうがオスより小柄です。
体高よりも体長が長く、胴長短足の体形をしています。
小柄ではありますが筋肉質な体つきでずっしりしています。
やや大きい頭部に長い首、長めのマズルが特徴で、耳は垂れ耳で頭頂部の横についています。
尻尾は垂れ尾ですが、断尾して立たせることもあります。
被毛はダブルコートの長毛で、針金状の硬い上毛と柔らかく密生した下毛から成ります。
この被毛のおかげで、あらゆる温度変化にも適応することができます。
毛色についてはホワイトのほか、ホワイト地にレモンやブラウン、アナグマ色などの斑がある個体が存在します。
寿命
シーリハムテリアの寿命については、12~14歳程度と、小型犬としては若干短めであると考えられます。
性格
次に、シーリハムテリアの性格についてみていきましょう。
シーリハムテリアは陽気な性格で、遊び好きでとてもやんちゃです。
テリア気質の強い犬種であるため、頑固で負けず嫌い、攻撃性が強い一面もあります。
そのため、売られた喧嘩には応戦してしまうことがあります。
警戒心も強く、知らない人間に対しては距離を置くため番犬には適しています。
飼い主や家族に対しては忠実で、愛情深く接してくれます。
子どもとも仲良くすることができるため、家庭犬に向いていると言えるでしょう。
ただ、これはあくまでもきちんとしつけがなされた場合です。
中途半端なしつけで甘やかせてしまうと、飼い主の言うことを聞かなかったり噛みついたりすることがあります。
テリア気質の強いシーリハムテリアは、初心者には向かない犬種です。
持て余して飼育放棄してしまうという悲しい結果になることもありますので、しつけに自信のない方は飼育を控えるようにしましょう。
シーリハムテリアの価格やブリーダーは?
もしシーリハムテリアを飼育したいという場合は、専門のブリーダーから購入することになるでしょう。
しかし、日本ではほとんど馴染がない犬種なのでブリーダーの数も少ないです。
うまくブリーダーを探すことができない場合は、ドッグショーに直接赴きブリーダーと直接コンタクトをとると良いでしょう。
シーリハムテリアの子犬の価格は、一般的に15~20万円程度と言われています。
ただ、血統が良いショータイプの子犬の場合は25万円以上かかり、最高価格が35万円にもなるそうです。
ブリーダーとよく相談のうえ、自分好みの子犬を見つけてくださいね。
シーリハムテリアのブリーダー情報はこちら!⇒https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=323seal
飼育にかかる費用
シーリハムテリアを飼育していくにはどれくらいのお金がかかるでしょうか?
ざっくりとした目安例としては、
・ケージ、サークル...10,000~20,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー3,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌、おやつ代...毎月8,000~15,000円
・トリミング代...1回6,000~10,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった時や避妊手術を受ける際は、その時々で治療費もかかります。
長い目で見た費用面でも、よく考えたうえで飼うようにしましょうね。
しつけのポイント
まず、シーリハムテリアは頑固でプライドが高いため、しつけはしにくいです。
甘やかすと言うことを聞かなくなってしまうので、常に毅然とした態度で物事の善し悪しを教えていきましょう。
社会性を身につけさせるためにも、子犬のうちから家族以外の人間や他種の犬と接する機会を作ることも大切です。
そして、しつけにおいて気をつけなければならないのは吠え癖と噛み癖です。
シーリハムテリアは吠え声が大きい犬種です。
警戒心が強いゆえ来客に対して吠えることがあるので、無駄吠えをしないようにしっかりとしつけていきましょう。
噛み癖についても、子犬のうちから駄目と言い聞かせていかなければなりません。
成犬になってから困らないように、じっくり対応していきましょう。
飼育する際の注意点
さて、ではシーリハムテリアの飼育について、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
運動量
運動量についてですが、シーリハムテリアは遊び好きであるため毎日十分な運動をさせる必要があります。
散歩は1日2回30分以上行い、散歩以外にもボール遊びなどをしてあげると喜びます。
時にはドッグランなどの広い場所で思い切り走らせて、ストレスを溜めこまないように配慮してあげてください。
被毛のお手入れ
次に、被毛のお手入れについてですが、シーリハムテリアは週に2~3回のコーミングもしくはブラッシングを必要とします。
足が短いゆえ腹部が汚れやすいので、定期的にシャンプーもしてあげると良いでしょう。
また、針金状の被毛をきれいに保つために、3ヶ月に1回程度のトリミングも必要です。
ドッグショーに参加させる予定のある方は、より丁寧にお手入れしてあげてください。
シーリハムテリアがかかりやすい病気
ここで、シーリハムテリアがかかりやすい病気についても触れておきます。
シーリハムテリアは、猟犬として活躍していたこともあり比較的丈夫な犬種ですが、いくつか気になる病気もありますので順番に見ていきましょう。
目の病気
まず、シーリハムテリアはテリア種でよくみられる目の病気にかかりやすいと言われています。
具体的には、白内障や緑内障、水晶体脱臼、進行性網膜萎縮などです。
いずれも放っておくと失明してしまう可能性がある病気です。
特に緑内障は緊急性があるので、
・愛犬の目が赤くなったり、目全体が膨らんできた、目が濁って見える、物によくぶつかる
といった症状を発見した場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
定期的に目の検査を行い、普段の生活において少しでも目に異変を感じた場合はできるだけ早く動物病院を受診しましょう。
皮膚病
また、シーリハムテリアは皮膚病も発症しやすいです。
アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎にかかりやすいため、日頃から被毛の手入れを怠らず皮膚を清潔に保つことを心がけましょう。
ノミ、ダニといったアレルゲンを除去すべく、飼育環境をきれいにしておくことも大切です。
一度皮膚病を発症すると治療が長引くことが多いので、少しでも
・皮膚のべたつき、皮膚からの異臭、脱毛、かゆみ、大量の鱗屑やフケ、皮膚を過剰に掻き毟る
といった異常がみられたら、すぐに動物病院で診てもらうようにしてください。
聴覚障害
他にも、難聴などの聴覚障害の症状がみられる場合があります。
・呼んでも反応しない、大きな音がしても起きない、臆病になる、背後から触ると非常に驚く
といったことが続けば難聴気味になっているサインかもしれません。
難聴は普段気づきにくい症状なので、定期検査の際などに聴覚検査をしてもらうと良いでしょう。
椎間板ヘルニア
また、胴長短足な体形であるため椎間板ヘルニアを発症することもあります。
椎間板ヘルニアになると、
・元気がない、散歩に行きたがらなくなる、足を引きずるなど歩き方がおかしい、急に動かなくなる、首や背中腰に触ると鳴いて痛がる、特定の動作をしない
といった症状が見られます。
十分な運動を続けて筋力を保ち、肥満を防ぐことが椎間板ヘルニアの予防につながります。
腰に負担のかかる抱き方をすると発症することもあるので、抱っこする際は十分に気をつけてください。
まとめ
シーリハムテリアはイギリス原産の大型犬で、体高27cm体重8kgほどの大きさになります。
陽気で遊び好きですが、警戒心や攻撃性が強い一面もあり、番犬に向いた性格をしているようです。
日本ではまだ年間15頭前後しか登録がないシーリハムテリア。
おそらく身近で見かけることも少ないでしょう。
ドッグショーなどに行かない限り、シーリハムテリアの魅力に気づくことはほとんどないと思います。
しつけが難しいこともあり、今後日本で急激に人気が出ることはないかも知れませんが、短い足でちょこちょこ走り回る姿はとてもかわいらしいことでしょう。
犬の飼育に慣れていて、珍しい犬種を飼ってみたいという方は是非一度検討してみてください。
ただ、飼育を決めたら、最後まで責任を持って面倒をみることを忘れないでくださいね。