オーストラリアでよく飼育されている犬にオーストラリアンケルピーがいます。
オーストラリアンケルピーとはオーストラリア原産の牧羊犬で、優れた運動能力と高い服従心を持つとして人々に愛されています。
日本ではまだ登録数が少なく、身近で見かけたことはないという方も多いことでしょう。
今回は、このオーストラリアンケルピーの性格や値段、飼う際の注意点や気になる病気について詳しくご説明します。
Contents!
オーストラリアンケルピーってどんな犬?
オーストラリアンケルピーは、19世紀頃にオーストラリアに入植したスコットランドの移民によって、オーストラリアの環境に適した牧羊犬を作ろうという目的で生み出された犬種です。
名前の“ケルピー”は、スコットランドに伝わる美しい馬の幻獣であるケルピーが由来となって付けられました。
入植時、移民はスコットランドから牧羊犬であるスムースコリーを持ちこんでいました。
そのスムースコリーと、オーストラリアの野生種であるディンゴを交配してオーストラリアンケルピーが作出されたと考えられていますが、実際ははっきりしたことは分かっていません。
とにもかくにも、牧羊犬として生み出されたオーストラリアンケルピーは、1872年にオーストラリアの牧羊犬競技会で優勝することで人気に火が付くこととなります。
今では10万頭以上がオーストラリアで登録されすっかり馴染の犬種となりましたが、その飼育目的は牧羊犬だったりショードッグだったり、家庭犬だったりとさまざまです。
オーストラリアにおけるオーストラリアンケルピーの登録は特殊で、牧羊犬の血統とショードッグの血統は別のものとして登録されます。
それぞれで基準となる体格や毛質などが異なり、牧羊犬に至っては独自の登録団体で管理されている状態です。
登録が別になった理由は、牧羊犬の血統に外見重視のショードッグの血統が混じることによって作業能力が低下しないためという配慮で、1965年から始められた試みです。
オーストラリアンケルピーはさまざまな国に輸出され、イギリス、カナダ、日本においては犬種登録されていますが、アメリカンケンネルクラブでは2つのタイプがあるということから犬種として認めていません。
体の特徴
それでは、オーストラリアンケルピーの特徴についてみていきましょう。
オーストラリアンケルピーは、体高がメスは43~48cm程度、オスは46~51cm程度で、体重がオス・メスともに11~20kg程度であるため中型犬に分類されています。
容姿はまさにスムースコリーとディンゴを足して二で割ったような感じで、引き締まった体つきをしています。
顔つきはシャープで凛々しく、頭部には明確なストップ、三角形の立ち耳、長い四肢、長く垂れた尻尾が特徴的です。
被毛についてはダブルコートの短毛です。
牧羊犬とショードッグで体の大きさや毛質、毛色は少々異なりますが、上記で述べた特徴はどちらにも共通するものです。
被毛の色は、ショードッグはブラック、ブラック&タン、レッドやレッド&タン、フォーン、チョコレート、スモークブルーに限られます。
そして、胸などにホワイトのパッチが入るものが良いとされています。
牧羊犬についてはさまざまな毛色が認められています。
寿命
オーストラリアンケルピーの寿命は、12年前後と言われています。
性格
次に、オーストラリアンケルピーの性格についてご説明します。
オーストラリアンケルピーは非常に賢く飼い主に対しての服従心が強い犬種です、
また、牧羊犬ならではのエネルギッシュさがあり、運動能力も高く俊敏性もあります。
その忠誠心から、与えられた仕事をこなすことに喜びを感じています。
オーストラリアで牧羊犬として働くオーストラリアンケルピーは、持って生まれた能力をいかんなく発揮し、素晴らしい判断力で走り回りながら羊の群れをまとめ上げるのです。
一方で、警戒心が強い一面もあるので、家族や仲間以外とは距離を置くことがあります。
争いを好まないため襲いかかることはありませんが、警戒した相手には吠えることがあります。
そういう意味では、番犬に向いていると言えるでしょう。
ちなみに、牧羊犬もショードッグも基本的に性格は一緒ですが、ショードッグのほうが穏やかで落ち着いていることが多いようです。
オーストラリアンケルピーの値段やブリーダーは?
あまり日本には馴染のないオーストラリアンケルピーですが、もちろん購入することは可能です。
もし飼育してみたいという場合は、ブリーダーを探しましょう。
日本国内のブリーダーは少ないため、海外のブリーダーから個人輸入することも検討しましょう。
子犬の価格は日本国内では20万前後ですが、個人輸入となると手数料等がかかるため、30~50万は見込んでおくと良いでしょう。
オーストラリアンケルピーのブリーダー情報はこちら!⇒https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=152austkeru
飼育にかかる費用
では、オーストラリアンケルピーと暮らしていくにはどれくらいのお金がかかるでしょうか?
参考例としては、
・ケージ、サークル...10,000~30,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー6,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌、おやつ代...毎月10,000~20,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった時や避妊手術を受ける際は、その時々で医療費もかかります。
長い目で見た費用面でも、よく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
しつけのポイント
オーストラリアンケルピーのしつけについてですが、彼らは飼い主に対しての服従心が非常に強く、賢く物覚えも良いためしつけはしやすいと言って良いでしょう。
一度飼い主をリーダーと認めれば、強い仲間意識を持って素晴らしい主従関係を結ぶことができるのです。
幼犬のうちから毅然とした態度で愛情を持って接し、絆を深めていきましょう。
飼育する際の注意点
もしオーストラリアンケルピーを飼育することになった場合、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
運動量
まず、前述したようにオーストラリアンケルピーは、仕事をこなすことに喜びを感じる犬種です。
その活動量はとてつもなく、ショードッグタイプであっても相当な運動量を必要とします。
散歩は1日2回、最低でも1~2時間以上必要とし、ただ歩くだけではなく途中でランニングを加えるのが理想的です。
ドッグランなどの広い場所にも頻繁に連れて行き、思いっきり走らせてあげることもお勧めします。
ただし、リードを離すとどこまでも走っていってしまうので、決してリードは外さないようにしてください。
また、彼らは俊敏なうえに判断力もあるので、フライングディスクやアジリティといったスポーツに向いています。
機会があれば試してみると良いでしょう。
彼らはとにかく運動が大好きです。
家に閉じ込めて運動不足が続くと、ノイローゼになる可能性もあるのでくれぐれも気をつけてください。
被毛のケア
最後に、被毛のケアについては短毛なので楽です。
週に1度ブラッシングを行い、汚れた箇所は濡れタオルで拭く程度で構いません。
ただ、換毛期には抜け毛が多くなるので、ブラッシングの回数を増やしシャンプーもしてあげてください。
オーストラリアンケルピーがかかりやすい病気
さて、気になるのはかかりやすい病気についてです。
オーストラリアンケルピーは、小脳変性症や股関節形成不全、拡張型心筋症、進行性網膜萎縮を発症しやすいと言われています。
順番に見ていきましょう。
小脳変性症
小脳変性症とは、運動機能をつかさどる小脳が正常に働かなくなる病気です。
小脳は運動機能を司っているため、小脳変性症にかかると歩き方がおかしくなります。
具体的には、小脳に障害が起きると
・すぐよろけたり歩き方がふらふらする、歩幅が合わない、距離感がつかめない、眼球があちこち動く
といった症状が見られます。
小脳変性症になる原因は、怪我やウイルス感染や老化がありますが、ほとんどの場合は先天性のものだと言われています。
股関節形成不全
股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤を結合させる股関節の形が異常である状態の病気です。
子犬の頃は目立った症状がなく、成長とともに異常が見られ病気に気づくことが多いです。
股関節形成不全になると股関節が不安定になるため、
・後ろ足をうまく折たためない、スキップやウサギ跳びのような動き、歩行時に腰が左右に揺れる
といった症状が見られます。
また、股関節形成不全でもよろめきやふらつきがあります。
少しでも異常が見られたら、すぐに動物病院を受診して判断を仰ぎましょう。
股関節形成不全は先天的な要因もあるため予防しきれないかもしれませんが、子犬の頃から適度な運動、良質な食事を心がけて筋肉や骨格を鍛えましょう。
そして、肥満も発症させる原因にもなるので、体重管理はしっかり行ってください。
拡張型心筋症
拡張型心筋症とは、心臓がうまく収縮できなくなることで、十分な量の血液が全身にいきわたらなくなる病気です。
初期段階は元気がなくなって、遊んだり運動することに興味を示さなくなります。
さらに進行していくと、食欲がなくなって体重が減少したり、咳や呼吸困難を起こしたりします。
また、お腹に水が溜まることによって腹部の膨張も起こります。
拡張型心筋症は死に至る危険性のある遺伝性の病気です。
突然失神することがありますので、そのような状態になったら一刻も早く動物病院へ連れていってください。
進行性網膜萎縮
最後に、オーストラリアンケルピーがかかりやすい病気として、進行性網膜萎縮症が挙げられます。
進行性網膜萎縮症とは、網膜に異常が起きて視力が低下し、最終的に失明してしまう病気です。
散歩の際に、物などにぶつかることが多くなったりしたら進行性網膜萎縮症を疑ってみましょう。
進行性網膜萎縮も遺伝性の病気ですが、このような遺伝性の病気を防ぐためには購入前にしっかり確認をしておくことも大切です。
まとめ
オーストラリアンケルピーは、オーストラリアで牧羊犬として作り出された中型犬で、体高48cm体重15kgほどの大きさになります。
非常に賢く飼い主に対しての服従心が強い性格で、牧羊犬ならではのエネルギッシュさと高い運動能力が特徴です。
オーストラリアンケルピーは日本ではまだまだ馴染のない犬種なので、この記事を読んでもピンとこない方は多いと思います。
オーストラリアに行く機会があって牧羊犬として働く彼らの姿を見ることができたら、その素晴らしさに魅了されてしまうかもしれませんね。
ただ、かなりの運動量を必要とするという意味では、時間に余裕のある方でないと飼育はおそらく難しいでしょう。
とりあえずは、いつかは飼いたいリストに入れておくだけでも良いかもしれませんね。
愛犬が長く元気に暮らしていけるように、飼い主家族は日頃から愛犬の健康に配慮することが何より大事なのです。