近年は“家族の一員”となっているペット。
人気なのはもちろん犬や猫ですよね。
昔は番犬として飼われていた犬も、今では私たち人間の心の支えとしてなくてはならない存在です。
日本においては狭い住宅事情等から小型犬を飼う家庭が多いですが、世界には大型の犬が多数存在します。
今回は、そんな大型犬の中でも超大型種となる、アイリッシュウルフハウンドの性格や寿命、値段や飼う際の注意点についてご紹介したいと思います。
Contents!
アイリッシュウルフハウンドってどんな犬?
アイリッシュウルフハウンドはアイルランド原産の犬種で、全犬種の中で最も体高が高い種と言われています。
アイリッシュウルフハウンドは紀元前1500年頃にアイルランドに渡ってきたとされており、家畜をオオカミから守る番犬として農家に飼育されるようになりました。
大型化も進められ必要不可欠な存在となっていましたが、その後アイルランドでオオカミの駆除が行われ必要性がなくなってきたことと19世紀に発生した大飢饉の影響で、一時は絶滅の危機にさらされました。
しかし、19世紀後半、愛好家の協力もあり繁殖が進められ徐々に個体数が増えることとなりました。
現在も保護団体の力によって個体数は増え続け、日本では100頭近くが飼育されているようです。
体の特徴
さて、それではアイリッシュウルフハウンドの特徴についてみていきましょう。
アイリッシュウルフハウンドの平均体高はメスが76cm程度、オスが81cm程度で、大きい個体だと1mを超えることもあります。
平均体重についてはメスが48kg程度、オスが55kg程度と、体高、体重を見ても非常に大型であることが分かりますね。
後ろ足で立つと2m近い高さになるので、大人でも圧倒されてしまうでしょう。
体はゴワゴワとした硬い毛で覆われており、毛色は個体によってさまざまですが、グレーやレッド、ブリンドル(黒色や茶色などの毛色が虎模様のようになったもの)のほか、ブラック、ピュア・ホワイトなどがあります。
猟犬なので筋肉質な体つきで脚が速いです。
また、鼻先が長く耳は垂れているのが特徴です。
寿命
寿命は、超大型犬であるため6~8年程度と短いです。
大型犬は体の大きさに対して臓器が小さいため、どうしても心臓に負担がかかってしまうのです。
アイリッシュウルフハウンドを飼育する場合は、寿命が短いということを覚悟しておかなければなりません。
性格
アイリッシュウルフハウンドの性格についてですが、彼らは非常に穏やかでおっとりしているため飼育しやすい種と言われています。
猟犬として活躍していたこともあり、勇敢で辛抱強い面もあります。
個体によっては警戒心が強いためしつけは大切ですが、基本的には社交的なので子どもや他種の犬、猫とも仲良く接することができます。
ただ、どうしても体が大きいため万が一のことがあったら大変です。
飼育する際にはしっかりとしつけを行い、子どもと遊ばせる際には必ず見守るようにしましょう。
アイリッシュウルフハウンドの値段は?
超大型種のアイリッシュウルフハウンド、日本ではあまり見かけないかもしれません。
日本の住宅環境では大型犬は飼育しにくいため、前述したように現時点で100頭程度しか飼育されていない状況です。
もちろん、ペットショップでも売られていません。
もしアイリッシュウルフハウンドを飼育したいという場合はブリーダーを探しましょう。
子犬だと25~35万円で販売されています。
ブリーダー情報!↓
https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=0101iwolf
ただ、日本には馴染がないこともあり、恐らくしつけは大変でしょう。
犬の飼育自体に慣れていないご家庭にはお勧めできない犬種と言えそうです。
飼育にかかる費用
アイリッシュウルフハウンドは大型犬なので、飼うための設備や餌代などの費用が他の犬に比べると高額になってしまいます。
具体的な例としては、
・ケージ...30,000~100,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー10,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌代...毎月20,000~30,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった際も大型犬の医療費は高額になりがちですので、費用面でもよく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
しつけのポイント
それでも飼いたいという方は当然いらっしゃるでしょう。
ここで、アイリッシュウルフハウンドのしつけをする際に大切なポイントをご説明します。
まず初めに、アイリッシュウルフハウンドは攻撃的な犬ではありませんが、体が大きいので子供や他の犬に跳びかかったりしてケガを負わせたりしないようしつけることが重要です。
また、おっとりとした性格をしていますが、ハウンド犬(狩猟犬)としての本能からか、走るものを追いかける習性があります。
車や自転車を追いかけてしまうと危険なので、飼い始めの頃にしっかりと制御できるようにしつけましょう。
大型犬の為、万一が起こらないようにしっかりしつけをする必要はありますが、強い口調で怒ったり体罰をする必要はありません。
行き過ぎた叱責は、体調不良を起こす原因にもなってしまいます。
うまくいったときは優しく褒めてあげたり、オヤツを与えてあげるなど愛情をもって接するようにしましょう。
もし、大型犬を飼うのが初めてだったりしつけの経験が浅い場合は、しつけ教室に参加してみるのもいいかもしれません。
飼育する際の注意点
では、アイリッシュウルフハウンドを飼育する場合、どのような点に注意する必要があるのかご説明します。
広いスペースを用意
まずは、体高80cm近い犬が快適に過ごせる広いスペースを用意しましょう。
そして、体の大きさに見合うケージも必要です。
感受性が強く繊細な部分もありますので、狭い居住スペースでストレスを与えないように気をつけましょう。
柔らかいクッションやマットを敷く
体重も50kg前後あるため、固い場所で寝ると脚や胸にタコができることがあります。
寝床には柔らかいクッションや体圧分散マットなどを敷くようにしましょう。
脚を痛めないためにも、フローリングには絨毯を敷いたり滑り止めを塗ったりといった配慮も必要です。
運動
最後に、何より大切なのは毎日の散歩です。
彼らハウンド犬は運動を好む種であるとともに、大きな体を支えるための筋力が必要です。
健康を保つためにも十分な運動をさせる必要があるので、1日2回、1回あたり1時間程度の散歩が望ましいです。
力が強いため散歩の際には相当な腕力が必要ですが、家族で交代しながらなど工夫しながら散歩を続けていきましょう。
お手入れも忘れずに

出典:flickr
・ブラッシング
アイリッシュウルフハウンドは固くて長い被毛を持っていて、季節の変わり目には毛が生え変わります。
絡まりやすい毛質なので、被毛のケアのためにも週に1回程度はブラッシングをしてあげましょう。
また、夏場は毎月、冬は2カ月に一回はシャンプーをしてあげるのも忘れないようにしてください。
・耳のお掃除
耳の状態にも気をつけてあげてください。
アイリッシュウルフハウンドは垂れ耳のため蒸れて汚れやすいので、週1回は耳をチェックして耳の外部分を優しくクリーナーで拭いてあげましょう。
もし、耳の内側部分が赤く腫れていたり異臭がするようなことがあれば、早めに動物病院へ行きましょう。
・歯のケア
最後に、アイリッシュウルフハウンドに限ったことではありませんが、犬も歯周病になる事があります。
歯茎が赤く腫れていたり、口が臭かったりすると歯周病のサインかもしれません。
歯周病にならないためには、人間と同じように毎日の歯磨きが大切です。
歯磨きのブラシを嫌がる場合は、歯磨きシートや歯磨き専用のガムやオモチャもありますので、それらを上手に使って歯のケアをしてあげるようにしましょう。
アイリッシュウルフハウンドがかかりやすい病気
次に、アイリッシュウルフハウンドがかかりやすい病気についてみていきましょう。
股関節形成不全
まず、アイリッシュウルフハウンドは股関節形成不全を起こしやすい種です。
股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤を結合させる股関節の形が異常である状態で、大型犬に多い病気です。
子犬の頃は目立った症状がなく、成長とともに異常が見られ病気に気づくことが多いです。
先天的な要因が7割を占める病気なので、ブリーダーから購入する際には親犬がこの病気にかかっていないかあらかじめ確認すると良いでしょう。
また、先天的でなくても滑りやすい床で生活するなど環境が悪いと発症することがあります。
大型犬を飼育する際にはくれぐれも注意しましょう。
胃捻転
他にも、アイリッシュウルフハウンドは胃捻転になる危険性があります。
こちらも、大型犬にはよく見られる病気です。
胃捻転とは、胃が捻転してガスが溜まることで周りの臓器を圧迫し、胃や周りの臓器が壊死したり血液の循環が悪くなったりする病気のことです。
症状が現れたらすぐに処置をしなければならないほど緊急性の高いもので、死亡率および再発率が高いです。
胃捻転の原因には、
・早食い、食後すぐの運動、ストレス、加齢
などが挙げられます。
大型犬は深い胸を持っているため、胃の中のガスを吐きだすことが難しいため、特に発症しやすいと言われています。
食後しばらくしたら、
・お腹が膨れてきた、何度も吐こうとする、落ち着きがない
といった症状がみられた場合は、一刻も早く動物病院へ行きましょう。
胃捻転を防ぐためにも、食後すぐの散歩は避け、1日の食事は2~3回に分けるようにしましょう。
心臓疾患
また、大型犬は肥大型心筋症など心臓疾患を抱えることも多いです。
肥大型心筋症の場合、初期段階は元気がなくなって、遊んだり運動することに興味を示さなくなります。
さらに進行していくと、食欲がなくなって体重が減少したり、咳や呼吸困難を起こしたりします。
また、お腹に水が溜まることによって腹部の膨張も起こります。
発見が遅れると、突然死してしまう可能性もある怖い病気です。
日頃から愛犬をよく観察し、少しでも異常が見られた場合はすぐに動物病院を受診するように心がけていきましょう。
熱中症
アイリッシュウルフハウンドはもともと寒い国の犬なので、暑さには弱いです。
夏場のお留守番の際は、室内でクーラーをかけておいてあげるようにしましょう。
まとめ
アイリッシュウルフハウンドはアイルランド原産の大型犬で、大きな個体だと体高1m体重50kgにもなります。
もとはハウンド犬(狩猟犬)ですが、非常に穏やかでおっとりとした性格をしています。
超大型犬ということもあり、アイリッシュウルフハウンドを飼う勇気はないという方も多いかもしれません。
しかし、その社交性と穏やかな性格を知ると非常に魅力的な犬種であると言えます。
お散歩は大変ではあるものの、一度は飼ってみたいなんて思うかもしれませんね。
しかし、残念ながら、前述したようにアイリッシュウルフハウンドは寿命が短いです。
もし飼育しようと決めた場合は、一緒に過ごす時間が幸せで充実したものであるよう、深い愛情を持って接していきたいですね。