“コーイケルホンディエ”と言われても、それが犬種名だと分かる方は恐らく少ないでしょう。
コーイケルホンディエはオランダ原産の犬で、日本ではジャパンケンネルクラブの登録数が毎年100頭前後と、まだまだ知名度の低い犬種です。
コーイケルホンディエとはいったいどのような犬なのか?
今回は、コーイケルホンディエの性格や特徴、価格やブリーダー、注意点や気になる病気について詳しくみていきたいと思います。
Contents!
コーイケルホンディエってどんな犬?
コーイケルホンディエは、16世紀頃からオランダでカモ猟やアヒル猟で活躍していました。
彼らのフサフサした尻尾を揺らすことで、カモやアヒルを仕掛けた罠におびき寄せる役割を果たしていたのです。
このような経緯から、“コーイケルホンディエ”、オランダ語で“カモ猟をする犬”という名が付けられました。
コーイケルホンディエはオランダの画家レンブラントなどの絵画にたびたび描かれていたほど、当時のオランダでは馴染のある犬だったことが分かります。
貴族や上流階級の家庭で良く飼育されていましたが、20世紀に入って戦争が始まるとともに徐々に減少していき、第2次世界大戦が終了する頃には世界で5頭しか生存していないという、絶滅の危機に瀕してしまいました。
その後は愛好家たちの努力により少しずつ個体数が回復してきていますが、現在でも原産国オランダ以外では個体数が少ない状況です。
オランダでは、しっかりと繁殖管理が行われ、家庭犬としてだけでなく探知犬や災害救助犬としても活躍しているようです。
因みに、日本に初めて輸入されたのは1999年と最近のことです。
ブリーダーもまだまだ少ないため、知名度が低いのも納得ですね。
日本での登録数年々は増えているということなので、今後さらに増える可能性は大いにある犬種と言えるでしょう。
体の特徴
それでは、コーイケルホンディエの特徴についてご説明します。
コーイケルホンディエは、オスメスともに体高が35~40cm程度、体重が7~15kg程度で中型犬に分類されることが多いです。
体高と体長がほぼ同じスクエア型で、非常にバランスの良い体格をしています。
耳は垂れ耳、頭部には明確なストップがあり、優しく気品のある表情をしています。
耳や腹、四肢、尻尾に飾り毛があるのが特徴で、特に尻尾の飾り毛はボリュームがありフサフサしています。
この尻尾を利用してカモ猟をしていたわけですね。
因みに、この飾り毛が完成するまでには2年近くかかると言われています。
被毛については基本的には直毛ですが、中には長めにウェーブした個体も存在します。
毛色はホワイト地にオレンジまたはレッドの大きな斑が入っています。
両目の間から鼻筋にかけて白い線(ブレーズ)が入っているのも特徴の一つです。
見た目はとても優雅であるため、家庭犬としての愛らしさを十分に備えた犬のように見えます。
寿命
コーイケルホンディエの寿命については12~14年と、比較的平均的な寿命であると言えるでしょう。
性格
次に、性格についてですが、コーイケルホンディエはその表情からも分かる通り陽気で穏やか、そしてフレンドリーな性格をしています。
自立心が低く飼い主に対して従順であるため、しつけがしやすいと言えるでしょう。
また、そのフレンドリーさから知らない人間や他種の犬とも仲良く接することができます。
寂しがり屋な一面もありますので、むしろ常に誰かとコミュニケーションがとれる環境に向いているかもしれませんね。
無駄吠えは少ないため、番犬には向きません。
飼育する際には室内で、常にコミュニケーションをとりたくさん愛情を注いであげてください。
コーイケルホンディエの価格やブリーダーは?
コーイケルホンディエに興味が出て飼育してみたいという場合は、専門のブリーダーから購入することになります。
日本ではまだ馴染がないため、ペットショップで販売されることはほぼありません。
そして、日本にはまだブリーダーも少ないため、お住まいの地域によっては簡単に入手できない場合もあるでしょう。
子犬の価格については、25~40万円と高額です。
血統や状態によっては50万円近くなることもあります。
絶滅の危機にまで瀕した希少価値の高い犬種であるため、高額になるのは覚悟したほうがよさそうです。
コーイケルホンディエのブリーダー情報はこちら!⇒https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=243kokh
近親交配、遺伝性疾患の有無の確認を!
さて、コーイケルホンディエには近親交配の問題があります。
原産国オランダでは近親交配を避けるよう繁殖が進められ、日本のブリーダーも近親交配にならないよう配慮しているとは思います。
ですが、もし近親交配が行われると遺伝性疾患が起きる危険性があります。
購入の際には直接犬舎見学するのはもちろんのこと、遺伝性疾患の有無などについてもしっかりと確認しましょう。
飼育にかかる費用
では、コーイケルホンディエと暮らしていくにはどれくらいのお金がかかるでしょうか?
参考例としては、
・ケージ、サークル...10,000~30,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー6,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌、おやつ代...毎月10,000~20,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった時や避妊手術を受ける際は、その時々で医療費もかかります。
長い目で見た費用面でも、よく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
しつけのポイント
まず、しつけについては先ほども述べたとおり、物覚えが良く飼い主にも従順であるためしつけはしやすいです。
犬の飼育に慣れていない方でも、比較的問題なくしつけることができるでしょう。
子犬の頃から毅然とした態度で接して主従関係を明確にし、良いこと悪いことをしっかりと教えていけば問題ないでしょう。
厳しく強い口調や体罰でしつけを行う必要はありません。
基本的には褒めて伸ばすことを心がけていってください。
飼育する際の注意点
さて、ではもしコーイケルホンディエを飼育する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
運動
コーイケルホンディエは、もともと猟犬ということもあって活発です。
毎日十分な運動をさせる必要があり、散歩は1日2回、1時間以上行うことを理想とします。
散歩だけではなく、ボールやフリスビーを使った遊びをさせると喜びます。
また、時にはドッグランに連れて行って思いっきり走らせてあげると良いでしょう。
ただ、本能的に小動物を追いかけてしまうことがあります。
散歩や遊びの際は、くれぐれもリードを手放さないように気をつけましょう。
被毛のお手入れ
被毛のお手入れについては、毛並みを美しく保つためにも毎日ブラッシングすることをおすすめします。
特に飾り毛は、コームを使って丁寧にブラッシングしましょう。
被毛を清潔に保つため、月1回程度のシャンプーも忘れてはいけません。
そして、耳も垂れているため、放っておくと菌が繁殖して外耳炎などの病気を引き起こすことになります。
定期的に耳掃除をして清潔を保ちましょう。
コーイケルホンディエがかかりやすい病気
最後に、コーイケルホンディエがかかりやすい病気についてみていきたいと思います。
コーイケルホンディエは個体数が少なく繁殖施設も少ないため、近親交配になる恐れがあります。
近親交配されると、当然ながら遺伝性疾患がある可能性があります。
セロイド・リポフスチン脳症
コーイケルホンディエがかかりやすいと言われているのは、セロイド・リポフスチン脳症です。
セロイド・リポフスチン脳症とは、脳内の老廃物が除去されず中枢神経に蓄積されることによって障害が起きる遺伝性疾患です。
1歳過ぎに発症することが多く、運動障害、視力障害、知的障害といった症状があらわれ、進行すると死に至ります。
残念ながら、現在この病気の治療法はまだありません。
フォンウィルブランド病
フォンウィルブランド病とは遺伝性の血液の病気で、止血に関与するフォンウィルブランド因子が不足または異常をきたすことにより、血が止まらなくなってしまう病気です。
手術やけがをした際に出血が長引き、最悪の場合死に至る危険性もあります。
こちらの病気も治療法はないため、購入時にこれらの病気を持っていないかしっかりと確認をすることが大切です。
遺伝性壊死脊髄障害(ENM)
コーイケルホンディエは、他にも神経が麻痺することで歩行障害が起きる遺伝性壊死脊髄障害(ENM)を発症することが多いと言われています。
遺伝性壊死脊髄障害はかつてコイケル麻痺とも言われ、ほとんどの場合1歳前に発症し、残念ながら安楽死を選択するという結果になってしまうケースもあります。
愛犬も家族も悲しい思いをしないためにも、繁殖家の方には是非元気な子犬を生み出していただきたいと願います。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼を起こす可能性もあります。
膝蓋骨脱臼は、何らかの要因で膝蓋骨がずれてしまう病気で、発症すると歩き方がおかしくなったり重症化すると骨格が変形して脚が使えなくなってしまいます。
先天的な理由である場合もありますが、高いところからジャンプするなど膝に負担がかかることによっておこる場合もあります。
具体的な膝蓋骨脱臼の症状には、
・スキップするように歩く、足をひきずる、しゃがんだ姿勢で歩く、膝を曲げた状態で歩く、歩けない
といったものが見られます。
いずれにしても、脱臼したら脚が着けなくなるなど明らかに異常行動がでますので、すぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ
コーイケルホンディエはオランダ原産の中型犬で、体高38cm体重10kgほどの大きさになります。
陽気で穏やかな性格をしており、飼い主に対しても従順であるため、しつけがしやすい犬と言えるでしょう。
愛らしく性格もフレンドリーなコーイケルホンディエ。
しつけがしやすく、体格も小型犬に近いため日本においても飼育しやすい犬種と言えるでしょう。
日本に輸入されたのが最近ということで、まだまだ馴染がないのは仕方ありません。
世界的に個体数が少ないことを考えると、恐らくこれからも急激に増えることはないでしょう。
遺伝性疾患の危険性はありますが、それは購入時にしっかりと確認すれば問題のないことです。
購入価格は高いですが、一度は飼育してみたい犬種ですね。