欧米で人気を博しているイングリッシュセッター。
彼らはもともと狩猟犬ですが、現在ではショードッグとして活躍しているほうが多いです。
日本ではあまり飼育している方が少なく馴染がないですが、実はセッターとしては最も古い歴史を持つ犬種なのです。
今回は、このイングリッシュセッターの性格やしつけのポイント、価格や注意する病気について詳しくみていきたいと思います。
Contents!
イングリッシュセッターってどんな犬?
イングリッシュセッターは、名前からも分かる通りイギリス原産の犬です。
“セッター”とは、獲物を発見すると“setting”、つまり伏せをすることで飼い主に位置を知らせることから名づけられました。
イングリッシュセッターの起源は14世紀頃と言われています。
ちょうどこの頃にスペインから渡ってきたスパニエル系の犬が祖先と考えられており、それらの中で狩猟の際にsettingをする個体が現れたことによってセッティングスパニエルと呼ばれるようになりました。
15世紀に入ると、セッティングスパニエルはポインターやウォータースパニエル、スプリンガースパニエルなどとの交配が進められていきました。
さらに19世紀には、エドワード・ラヴェラック氏により熱心に繁殖が進められ、およそ40年かけて現在のイングリッシュセッターの基盤を作ることとなりました。
他にもパーセル・ルーエリン氏によっても繁殖が進められたことが分かっています。
彼らによって作り出された犬は、それぞれ“ラヴェラックセッター”“ルーエリンセッター”と呼ばれ、ラヴェラックセッターはドッグショーで、ルーエリンセッターは狩猟の現場で活躍していくこととなりました。
そして、この2種のセッターを統合してイングリッシュセッターと呼ぶようになったのです。
体の特徴
それでは、イングリッシュセッターの特徴についてみていきましょう。
イングリッシュセッターは大型犬に分類されており、体高はメスが61~65㎝、オスが65~68cmで、体重はオス、メスともに25~30kg近くあります。
猟犬というだけあって筋肉質で引き締まった体つきをしており、運動能力に優れています。
口吻(マズル)は四角く、頭部にははっきりとしたストップ(額と鼻先の間にあるくぼみ)があるのが特徴です。
また、耳は垂れ耳で尾はまっすぐで先細りしています。
被毛はダブルコートの長毛で、絹のように柔らかく光沢があります。
耳や下腹部、尾、後ろ脚には飾り毛があるため、とても優雅な雰囲気を醸し出しています。
毛色については、イングリッシュセッター特有の“ベルトン”という色があります。
ベルトンとは、ホワイトを下地としてブラックやオレンジ、レモン、ブルー、レバーなどの、いずれかの単色が斑点状に入っている毛色のことです。
他にもトライカラーというものがあり、これはブラック&ホワイト&タン、レバー・ベルトン&タンなど3色の毛色を指します。
寿命
イングリッシュセッターの平均寿命は、10~13歳程度と言われています。
大型犬の中では、長生きな犬ですね。
性格
次に、性格についてみていきましょう。
イングリッシュセッターは、とても人懐っこく穏やかな性格をしています。
知らない人や他種の犬とも友好的に接することができるので、子どもがいる家庭や多頭飼いの家庭でも仲良く暮らすことができるでしょう。
ただ、甘えん坊で寂しがり屋な一面もあるので、長時間の留守番をさせないなどの配慮が必要になります。
このように、一般的には穏やかですが、フィールドタイプ(猟犬用)のイングリッシュセッターは少々気質が異なります。
フィールドタイプの個体はどうしても猟犬気質であるため、常に活発で動き回る傾向にあるようです。
イングリッシュセッターの価格やブリーダーは?
もしイングリッシュセッターを飼育したいという場合は、ブリーダーを探してみてください。
イングリッシュセッターには、愛玩用として繁殖した子犬と猟犬用として繁殖した子犬という2つのタイプに分かれるのですが、どちらかと言えば猟犬用として繁殖されることが多いので、日本ではペットショップで売られることは稀です。
そして、現在イギリスにおいてもイングリッシュセッターの繁殖数は減少しているようなので、思うようにブリーダーを探せないという場合は、一度ペットショップにも相談してみると良いかもしれません。
子犬の値段については、15~20万が相場です。
ただ、ショードッグタイプには40万近くする子犬もいるようなので、どういう目的で飼育するのかをしっかり決めてから購入してください。
イングリッシュセッターのブリーダー情報はこちら!⇒https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=123esetter
飼育にかかる費用
イングリッシュセッターは大型犬なので、飼うための設備や餌代などの費用が他の犬に比べると高額になってしまいます。
具体的な費用例としては、
・ケージ...20,000~100,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー10,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・トリミング代...1回6,000~10,000円
・餌、おやつ代...毎月15,000~30,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、病気や怪我をしてしまった時も大型犬の医療費は高額になりがちです。
費用面でもよく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
しつけのポイント
まず、イングリッシュセッターはしつけについては難しくありません。
イングリッシュセッターは賢く服従心もあるため、子犬の頃からしっかりしつけを行えばお互い良い関係性を築けることでしょう。
しかし、少々マイペースな部分もあるので、時には言うことを聞いてくれないこともあると思います。
根気強く何度も教えていけばしっかり覚えてくれますので、焦らずじっくりしつけていきましょう。
いずれにしても、イングリッシュセッターはしっかりとしつけを行えば飼い主の指示に忠実に従います。
比較的飼いやすい犬種と言えますが、愛情不足、運動不足の場合には問題行動も出てくるので、深い愛情を持って飼育することがなにより大切です。
飼育する際の注意点
さて、ではイングリッシュセッターを飼育することになった場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
運動
次に、イングリッシュセッターは猟犬であるため、非常に多くの運動量を必要とします。
可能であれば1日2回、1~2時間程度の散歩をしてください。
ただ歩くだけではなく、ときどき小走りになってみたり遊びを交えてみたりと工夫をすると喜ぶでしょう。
運動不足によりストレスを抱えると、攻撃的な部分が出てきてしまう恐れがあります。
常に穏やかで優しい気持ちでいられるよう、愛犬とコミュニケーションをとりながら楽しい時間を過ごしてください。
被毛のお手入れ
最後に、被毛のお手入れについては少々手間がかかります。
イングリッシュセンターの毛は柔らかい長毛なので、絡まったり毛玉ができたりします。
ブラッシングは最低でも週に2~3回行い、光沢のあるサラサラヘアを保ちましょう。
毛にゴミなどが絡まってしまうことがあるので、ブラッシングは散歩後に行うと効果的です。
耳も垂れているため放っておくと炎症を起こしやすくなります。
こまめにイヤーローションで拭いてあげてください。
イングリッシュセッターがかかりやすい病気
そして、イングリッシュセッターがかかりやすい病気についてもご紹介します。
視覚障害、聴覚障害
イングリッシュセッターは、先天的に視覚障害や聴覚障害が出やすい傾向にあります。
具体的には進行性網膜委縮症、難聴などです。
進行性網膜萎縮症とは、網膜に異常が起きて視力が低下し、最終的には失明してしまう病気です。
散歩の際に、物などにぶつかることが多くなったりしたら進行性網膜萎縮症を疑ってみましょう。
難聴に関しては、銃の音にも動じないことが求められていたため難聴に気づかず繁殖をし続けたこと、そして近親交配も先天的な病気が起きやすい原因と考えられます。
なかなか気づきにくい病気ではありますが、少しでも異変を感じたら動物病院で診てもらうと良いでしょう。
また、愛犬がこれらの遺伝子を持っていないか気になる方は、早期に遺伝子検査を行うと良いでしょう。
皮膚病
イングリッシュセッターは、アレルギー性皮膚炎などの皮膚病になりやすい犬種です。
長い毛を不潔にしたままにしておくとトラブルを起こしやすいので、前述したようにこまめにブラッシングをしたり定期的にシャンプーをするなどして清潔を保つようにしましょう。
特にアレルギー性、アトピー性皮膚炎には要注意です。
ダニなどのハウスダストが要因となるので、飼育する部屋もこまめに掃除しましょう。
外耳炎
また、イングリッシュセッターは垂れ耳のため蒸れて汚れやすく、外耳炎になりやすい犬種です。
週1回は耳をチェックして外耳をこまめに拭いてあげてください。
もし、
・耳が赤く腫れている、異臭がする、ベタベタした耳垢が多い
ような症状があれば、早めに動物病院へ行きましょう。
胃捻転
そして、大型犬特有の胃捻転にもかかりやすいです。
胃捻転とは、胃が捻転してガスが溜まることで周りの臓器を圧迫し、胃や周りの臓器が壊死したり血液の循環が悪くなったりする病気のことです。
症状が現れたらすぐに処置をしなければならないほど緊急性の高いもので、死亡率および再発率が高いです。
胃捻転の原因には、
・早食い、食後すぐの運動、ストレス、加齢
などが挙げられます。
胃捻転については、どか食いを防いだり食後の運動を控えたりといった飼い主の気遣いで防ぐことができます。
命を落とす危険性もあるので、食事のあげ方には十分に注意しましょう。
股関節形成不全
股関節形成不全や肘関節形成不全にも注意が必要です。
股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤を結合させる股関節の形が異常である状態で、大型犬に多い病気です。
子犬の頃は目立った症状がなく、成長とともに異常が見られ病気に気づくことが多いです。
先天的な要因が7割を占める病気なので、ブリーダーから購入する際には親犬がこの病気にかかっていないかあらかじめ確認すると良いでしょう。
また、先天的でなくても滑りやすい床で生活するなど環境が悪いと発症することがあります。
室内で大型犬を飼育する際には、滑り止めの床材を敷くなどくれぐれも注意しましょう。
まとめ
イングリッシュセッターはイギリス原産の大型犬で、体高65cm体重30kgほどの大きさになります。
人懐っこく穏やかな性格ですが、フィールドタイプ(猟犬用)のイングリッシュセッターは、常に活発で動き回る傾向があるようです。
イングリッシュセッターには上品で優雅な雰囲気が漂い、とてもおしゃれですよね。
ショードッグとして活躍しているのも頷けます。
日本ではまだまだ登録件数は少なく、滅多に見かけることはない犬種と言えますが、飼育しやすいこともあり人気は出てきていると思います。
優雅で穏やかなイングリッシュセッターの魅力を味わいたい方は、是非一度検討してみてはいかがでしょうか。