イギリスにて生み出されたイングリッシュポインター。
ポインターと付く犬種はいくつかありますが、ほとんどの方は“ポインター”と言うとイングリッシュポインターのことを指します。
彼らは猟犬として活躍し、我が国でもいまだに利用されています。
現在はショードッグとして飼育されることのほうが多いですが、彼らは一体どのような犬なのでしょうか。
今回は、イングリッシュポインターの性格や特徴、価格や気を付けたい病気について詳しくみていきたいと思います。
Contents!
イングリッシュポインターってどんな犬?
イングリッシュポインターは、冒頭で述べたとおり17世紀頃にイギリスで誕生した犬種です。
彼らの祖先はスペインやポルトガルにいた土着の犬と考えられており、その犬たちがイギリスに渡ったのちに猟犬として改良され始めました。
詳しいことは分かっていないものの、イタリアンポインター、フォックスハウンドやグレーハウンド、スパニエル系の犬種との交配が行われていたと言われています。
猟犬としての素晴らしい能力を得たイングリッシュポインターは、主に鳥やウサギの猟で利用されるようになりました。
名前の“ポインター”とは、獲物を発見すると姿勢を低くして片足を上げるポイントのポーズをとることから名づけられました。
やがてアメリカにも渡り猟犬としての人気がより高まりましたが、20世紀になると猟犬としてよりもむしろショードッグとして活躍していくこととなります。
そして、猟犬としての気質を抑え穏やかな性格にするためにセッターとの交配も行われ、家庭犬として飼育しやすい犬へと改良されていったのです。
体の特徴
それでは、イングリッシュポインターの特徴についてみていきましょう。
イングリッシュポインターは大型犬に分類されており、体高はメスが58~66cm、オスが63~71cm程度、体重はメスが20~30kg、オスが22~34kg程度になります。
体は筋肉質で引き締まっており、短毛であるため流線型の体のラインがはっきりしており、美しさと気品さが漂ってきます。
しかしながら、力強く素晴らしい運動能力と嗅覚も持ち合わせています。
頭部には明確なストップがあり首は比較的長くすっきりしています。
耳は垂れ耳ですが、尻尾は細くピンと伸びています。
被毛については先ほども述べたとおり短毛で光沢があります。
毛色はホワイトをベースとして、ブラックやレモン、オレンジ、レバーなどの斑が入り、だいたいは2~3色からなります。
ただし、単色やトライカラーも認められています。
鼻の色は濃いめの毛色であればブラックかブラウン、薄めの毛色であればピンクなどの明るい色が認められているようです。
寿命
イングリッシュポインターの平均寿命は、12~14年と言われています。
性格
次に、性格についてみていきましょう。
イングリッシュポインターは、非常に愛情深く優しい性格をしています。
賢く飼い主に対しても忠実であるためしつけもしやすいです。
さらに辛抱強く攻撃性も低いため、家庭で飼育しやすい犬種と言えるでしょう。
また、彼らは社交的で遊び好きなので、知らない人や他種の犬とも仲良く接することができます。
大型犬なので飼育するには何かと出費がかさみますが、家にいたらとても頼もしく、いなくてはならない大切な家族の一員となることでしょう。
イングリッシュポインターの価格やブリーダーは?
もしイングリッシュポインターを購入したいという場合はブリーダーを探してください。
日本においてはまだ馴染のない犬種なので、ペットショップで販売されることはほぼありません。
現在JKC(一般社団法人ジャパンケネルクラブ)で登録されるイングリッシュポインターは年に1、2頭のみというほど希少な犬種なのです。
ブリーダーから購入する場合、子犬の価格は家庭犬としては20万円前後ですが、ショードッグ目的となると30万以上になることもあります。
購入の際には、子犬の血統、飼育環境をしっかり確認したうえで決断してください。
イングリッシュポインターのブリーダー情報はこちら!⇒https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=124epointer
飼育にかかる費用
イングリッシュポインターは大型犬なので、飼うための設備や餌代などの費用が他の犬に比べると高額になってしまいます。
具体的な費用例としては、
・ケージ...20,000~100,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー10,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌、おやつ代...毎月15,000~30,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、病気や怪我をしてしまった時も大型犬の医療費は高額になりがちですので、費用面でもよく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
しつけのポイント
イングリッシュポインターは賢くもあるので、しつけがしやすく犬を飼うことに慣れていない家庭でも飼いやすい犬種と言えます。
しかし、甘やかしたりすぎたり服従訓練が中途半端だったりすると、立場が逆転してしまい言う事を聞かないことがあるので注意が必要です。
飼い主という立場を忘れず、幼犬の頃からしっかりと服従させて信頼関係を築くようにしましょう。
また、運動不足やコミュニケーション不足などのストレスを与えると、攻撃的な行動に出てしまう可能性があります。
なるべく一緒に過ごす時間を作りながらも、甘やかしすぎないしつけを行うようにしましょう。
飼育する際の注意点
さて、ではいざイングリッシュポインターを飼育することになった場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
運動
まず、イングリッシュポインターは猟犬なのでとてもスタミナがあります。
何時間でも走ることができるほどなので、毎日十分な運動量を必要とします。
最低でも1日2回、1時間程度の散歩を必要としますが、ただ歩いているだけでは満足してくれません。
走ったりボール遊びをする時間を加えたりしながら、適度にストレスを発散させてあげましょう。
ドッグランなどに行って思いっきり走らせてあげることも大切です。
室内飼い
飼育環境については室内飼いがおすすめです。
温暖な気候の地域では屋外で飼育することも可能ですが、彼らは飼い主と一緒に過ごすことに喜びを感じています。
寂しい思いをしないためにも、コミュニケーションをとりやすい室内で飼育すると良いでしょう。
被毛のお手入れ
被毛のお手入れについては、短毛であるため楽です。
基本的には時々ブラッシング、もしくは濡れタオルで拭く程度で大丈夫ですが、換毛期には毛がたくさん抜けますのでまめにブラッシングしてあげてください。
抜け毛が気になるときはシャンプーもしてあげましょう。
耳は垂れ耳なので、週に1回は耳掃除をして炎症を起こさないよう気をつけましょう。
イングリッシュポインターがかかりやすい病気
それでは次に、イングリッシュポインターがかかりやすい病気についてご説明します。
目の病気
彼らは白内障や眼瞼内反症、チェリーアイといった目の病気にかかりやすいと言われています。
白内障はご存知の通り目の水晶体が白く濁ってしまう病気です。
放っておくと失明する恐れがあるため、早期に発見して治療を行うことがなにより大切です。
早い段階で治療を開始すれば進行を抑えることができるので、常に愛犬を観察し、
・愛犬の目が赤くなったり、目全体が膨らんできた、目が濁って見える、物によくぶつかる
といった症状が見られたらすぐに動物病院で診てもらってください。
聴覚障害
イングリッシュポインターは、セッターの血が入っていることもあり聴覚障害も起きやすいです。
難聴は普段気づきにくい症状なので、定期検査の際などに聴覚検査をしてもらうと良いでしょう。
胃捻転
また、胃捻転も要注意です。
胃捻転は、大型犬にはよく見られる病気の1つです。
胃捻転とは、胃が捻転してガスが溜まることで周りの臓器を圧迫し、胃や周りの臓器が壊死したり血液の循環が悪くなったりする病気のことです。
症状が現れたらすぐに処置をしなければならないほど緊急性の高いもので、死亡率および再発率が高いです。
胃捻転の原因には、
・早食い、食後すぐの運動、ストレス、加齢
などが挙げられます。
大型犬は深い胸を持っているため、胃の中のガスを吐きだすことが難しいため、特に発症しやすいと言われています。
食後しばらくしたら、
・お腹が膨れてきた、何度も吐こうとする、落ち着きがない
といった症状がみられた場合は、一刻も早く動物病院へ行きましょう。
胃捻転を防ぐためにも、食後すぐの散歩は避け、1日の食事は2~3回に分けるようにしましょう。
股関節形成不全
最後に、イングリッシュポインターは大型犬でよくみられる股関節形成不全にもかかりやすいです。
股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤を結合させる股関節の形が異常である状態で、大型犬に多い病気です。
子犬の頃は目立った症状がなく、成長とともに異常が見られ病気に気づくことが多いです。
股関節形成不全になると股関節が不安定になるため、
・後ろ足をうまく折たためない、スキップやウサギ跳びのような動き、歩行時に腰が左右に揺れる
といった症状が見られます。
股関節形成不全は先天的な要因もあるため予防しきれないかもしれませんが、子犬の頃から適度な運動、良質な食事を心がけて筋肉や骨格を鍛えましょう。
そして、肥満も発症させる原因にもなるので、体重管理はしっかり行ってください。
まとめ
イングリッシュポインターはイギリス原産の大型犬で、体高65cm体重30kgほどの大きさになります。
非常に愛情深く優しい性格なので、しつけもしやすく飼いやすい犬と言えるでしょう。
美しくたくましい体を持ち、穏やかな性格の持ち主であるイングリッシュポインター。
一度家族として迎え入れたら、素晴らしい関係性を築いていけそうですね。
現在日本では、猟犬としての利用はあるものの家庭で飼育されることは少ない状況です。
ペットショップで販売されることもほぼないため、よほど好きでない限り候補にあがらないのかもしれませんね。
十分な運動量が必要なことも考えると、お住まいに地域によっては飼育しにくいということもあるかもしれません。
犬に限らず動物を家族に迎え入れるということは、その動物の生涯に責任を持つということです。
幸せに暮らすことができるかどうか、じっくり検討したうえで飼育を始めましょう。