テリア種の中で最も大きいエアデールテリア。
それゆえに“テリアの王様”と呼ばれている彼らは、世界中の愛犬家に親しまれており、日本においても人気の犬種です。
エアデールテリアはもともと猟犬ですが、賢く従順であるため家庭においても飼育しやすいと言われています。
今回は、このエアデールテリアの性格やしつけのポイント、価格や気になる病気について詳しくみていきましょう。
Contents!
エアデールテリアってどんな犬?
エアデールテリアは、19世紀頃にイギリスのヨークシャー地方にあるエア渓谷(エアデール)で生み出された、比較的新しい犬種です。
祖先犬として考えられているのはブラックアンドタンテリアです。
エア渓谷では当時カワウソ猟が盛んで、猟にはオッターハウンドという大型犬が利用されていました。
そして、オッターハウンドの狩猟能力をさらに高める目的でブラックアンドタンテリアやブルテリアなどと交配して作出されたのがエアデールテリアです。
当初は“ビングレー”や“ウォーターサイドテリア”と呼ばれていましたが、1878年に愛好家たちにより“エアデールテリア”と名付けられ、正式に登録されることとなったのです。
エアデールテリアは狩猟能力に優れ運動能力も高いため、カワウソ猟のみならずウサギやイタチといった小動物の狩猟にも用いられました。
猟だけではなくショードッグとしても活躍している彼らは、勇敢で賢いこともあり警察犬としても高い評価を得ました。
日本に渡ってきたのは昭和初期で、当初は軍用犬として、そして現在は家庭犬として可愛がられ警察犬にも採用されています。
体の特徴
それでは、エアデールテリアの特徴についてみていきましょう。
エアデールテリアは冒頭で述べたとおり、小型犬が多いテリア種で最も大きい犬種です。
体高はメスが50~59cm、オスが56~61cm程度、体重はメスが18~21kg程度、オスが21~27kg程度で中型犬に分類されています。
体はスクエア型で筋肉質な体つきをしています。
頭部は長く目は小さく、耳は途中で折れ曲がっているボタン耳であるのが特徴です。
脚はまっすぐ長く伸び、尻尾もまっすぐ伸びています。
被毛については粗剛毛のダブルコートで、トップコートは硬い針金状ですがアンダーコートは柔らかく密生しています。
顎ひげや眉毛も豊富です。
毛色はブラック&タンで、首筋から尻尾にかけてブラックもしくはグリズルの濃い色が入るサドルというパターンを持ちます。
サドルとは馬の鞍(サドル)のように見えることからきています。
幼犬の頃はブラック1色ですが、成長とともに変化していくようです。
ウェルシュテリアとの見分け方は?
さて、エアデールテリアはウェルシュテリアと容姿がそっくりと言われますが、見分け方は大きさです。
エアデールテリアは体高56~60cm程度、ウェルシュテリアは体高33~38cm程度です。
エアデールテリアのほうがウェルシュテリアよりも大型であると覚えておくと良いでしょう。
エアデールテリア ウェルシュテリア
寿命
エアデールテリアの寿命は、10~12歳と言われています。
性格
次に、性格についてご説明します。
エアデールテリアは明るく友好的で、飼い主に従順な性格をしています。
ただ、テリア種特有の頑固で負けず嫌いな一面もあるため、しつけを誤ると言いつけに従わないこともあります。
しかし、テリア種の中では比較的寛容で辛抱強いため、他種の犬や子どもともうまく接することができるようです。
そして、エアデールテリアは非常に賢い犬種です。
しっかりとしつけやトレーニングを行えば、飼い主に忠実な頼もしい存在となることでしょう。
前述したとおり、エアデールテリアは警察犬として活躍しており、その他にも世界では災害救助犬や盲導犬、セラピードッグなどにも採用されています。
幅広い分野で活躍しているエアデールテリア、家庭でももちろん飼育しやすい犬種と言われており世界中で人気です。
エアデールテリアの値段やブリーダーは?
もしエアデールテリアを飼育したい場合は、まずブリーダーを探してみましょう。
日本でも人気が出てきているため、ペットショップで販売されている場合もあります。
ただ、ブリーダーのほうが確実であるため、いろんなブリーダーさんを探して相談してみてください。
子犬の平均価格は15~20万円程度です。
血統によっては当然もっと高くなりますので、どういう子犬を購入したいかじっくり検討したうえで決断してください。
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飼育にかかる費用
エアデールテリアを飼育していくにはどれくらいのお金がかかるでしょうか?
ざっくりとした目安例としては、
・ケージ、サークル...10,000~30,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー6,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・トリミング代...1回6,000~10,000円
・餌、おやつ代...毎月8,000~15,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった時や避妊手術を受ける際は、その時々で治療費もかかります。
長い目で見た費用面でも、よく考えたうえで飼うようにしましょうね。
しつけのポイント
まずしつけについてですが、エアデールテリアにもテリア種特有の頑固でプライドが高い一面があるため、中途半端なしつけでは言いつけに従わない犬になってしまう可能性が高いです。
幼犬のうちから徹底した服従訓練を行い、善悪の区別もつくように教えていきましょう。
厳しく叱りつけるよりも褒めて伸ばすように心掛けると効果的です。
また、社会性を学ばせるためにも幼犬のうちから他人や他種の犬と接する機会を設けると良いでしょう。
もともと頭の良い犬種なので、完璧に身につけさえすればその後はより良い関係性を築いていけることでしょう。
飼育する際の注意点
さて、ここでエアデールテリアを飼育する際の注意点についてご説明します。
運動
次に、エアデールテリアは運動が大好きな犬種です。
体が大きく体力もあるため、散歩は1日2回、1時間程度行うことが理想的です。
散歩だけではなく、ボール遊びをしたりドッグランなどで思いっきり走らせたりすることも大切です。
運動不足になるとストレスを溜めこんでしまうため、家族で協力しながらたくさん運動させてあげましょう。
飼育環境
飼育環境については室内飼いが向いています。
ただ、テリア気質があるため多頭飼いはお勧めできません。
攻撃性を見せることがあるため、エアデールテリアは単独で飼育しましょう。
被毛のお手入れ
最後に、被毛についてですが、エアデールテリアの被毛は針金のように硬くダブルコートでもあるため、まめにお手入れする必要があります。
週に3~4回はブラッシングやコーミングを行い、シャンプーやトリミングも定期的に行うよう心がけましょう。
幸い抜け毛は少ない犬種です。
ただ、被毛は清潔を保たないと皮膚病を発症する恐れがあるため、汚れた箇所は濡れタオルで拭くなど配慮しましょう。
エアデールテリアのかかりやすい病気
最後に、エアデールテリアのかかりやすい病気についてもご紹介します。
エアデールテリアは遺伝的疾患が少ない犬種ですが、全く病気にかからないわけではないので、いくつか注意するべき病気をご紹介します。
眼疾患
進行性網膜萎縮や角膜ジストロフィー、眼瞼内反症などの眼疾患にかかりやすいと言われています。
進行性網膜萎縮症とは、網膜に異常が起きて視力が低下し、最終的には失明してしまう病気です。
角膜ジストロフィーは、角膜の中央付近に白いものが浮かび濁っているように見える症状です。
眼瞼内反症は、まぶたが内側にめくれている状態のことで、まつげが目の内側に向かってしまう「逆さまつげ」になってしまいます。
・愛犬の目が赤くなったり、目全体が膨らんできた、目が濁って見える、物によくぶつかる、目ヤニや涙が増える、頻繁に目をこする
といった症状を発見した場合は、眼疾患を疑ってみましょう。
散歩の際に、物などにぶつかることが多くなったりしたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
外耳炎
また、垂れ耳であるため外耳炎にもかかりやすいです。
耳の中も定期的にイヤーローションで拭いて清潔を保ちましょう。
もし、耳が赤く腫れていたり異臭がするようなことがあれば、早めに動物病院へ行きましょう。
皮膚病
そして、エアデールテリアは皮膚病を発症する恐れもあります。
長い毛を不潔にしたままにしておくとトラブルを起こしやすいので、前述したようにまめにブラッシングをしたり定期的にシャンプーをするなどして清潔を保つようにしましょう。
アトピー性、アレルギー性など原因はさまざまですが、環境が原因となることも多いので、室内をまめに掃除しアレルゲン排除に努めてください。
股関節形成不全
エアデールテリアは中型犬とはいえ比較的大型であるため、大型犬に良くみられる股関節形成不全にも注意が必要です。
股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤を結合させる股関節の形が異常である状態で、大型犬に多い病気です。
子犬の頃は目立った症状がなく、成長とともに異常が見られ病気に気づくことが多いです。
先天的な要因が7割を占める病気なので、ブリーダーから購入する際には親犬がこの病気にかかっていないかあらかじめ確認すると良いでしょう。
また、先天的でなくても滑りやすい床で生活するなど環境が悪いと発症することがあります。
飼育場所には滑らないようカーペットを敷くなど、くれぐれも注意しましょう。
胃捻転
また、胃捻転を発症する可能性もあります。
胃捻転とは、胃が捻転してガスが溜まることで周りの臓器を圧迫し、胃や周りの臓器が壊死したり血液の循環が悪くなったりする病気のことです。
症状が現れたらすぐに処置をしなければならないほど緊急性の高いもので、死亡率および再発率が高いです。
胃捻転の原因には、
・早食い、食後すぐの運動、ストレス、加齢
などが挙げられます。
食後の運動は避ける、食事を分けドカ食いは避けるなど病気を防ぐための対策を心がけてください。
まとめ
エアデールテリアはイギリスが原産の小型犬で、体高56cm体重21kgほどの大きさになります。
明るく友好的で非常に賢く飼い主に従順ですが、頑固で負けず嫌いな一面もあるため、しっかりしつけを行わないと言いつけに従わない可能性もあります。
警察犬や災害救助犬など、さまざまな仕事に適応するエアデールテリア。
それだけ優秀であるならば、世界中で家庭犬としても人気が出るのも頷けますね。
日本では人気が出てきているとはいえ、まだまだ登録犬数は少ない状況です。
比較的大型の犬なので、日本の家屋で飼育するのはちょっと大変かもしれませんが、しっかりとしつけさえ行えば素晴らしいパートナーとなってくれることでしょう。
気になる方は、一度ブリーダーを探して相談してみると良いかもしれません。