日本でも人気のあるイングリッシュコッカースパニエル。
愛らしい顔やふわふわの毛がとても魅力的ですね。
性格も良くしつけもしやすいため初心者の方でも飼いやすい犬種ですが、当然ながら飼育する際にはいくつか気をつけるべき点はあります。
今回は、イングリッシュコッカースパニエルの性格や価格、飼い方やかかりやすい病気について詳しくご説明したいと思います。
Contents!
イングリッシュコッカースパニエルってどんな犬?
イングリッシュコッカースパニエルはイギリス原産のスパニエル系の犬種で、陸地において狩猟に使用されていたランド・スパニエルを祖先とします。
イングリッシュコッカースパニエルは、イギリスのウェールズ地方で誕生したと考えられており、17世紀頃には野鳥であるヤマシギ猟の際に活躍していました。
彼らの役割は、ヤマシギを飛び立たせて、撃ち落とされたヤマシギを回収することです。
名前の“コッカー”とは、シギ(コク)の狩猟で使用される犬という意味から名づけられました。
その後、イングリッシュコッカースパニエルはアメリカへ渡ることとなりますが、アメリカ人は狩猟犬としてではなく愛玩犬として改良を行うようになりました。
選択交配を進めたのち誕生したのがアメリカンコッカースパニエルです。
イギリス人はイングリッシュコッカースパニエルの改良に反対していたため、この2種は異なる犬種として区別されたのです。
現在、いずれの犬種も人気ではありますが、アメリカンコッカースパニエルの人気はあくまでもアメリカ国内でのことで、世界的にみればイングリッシュコッカースパニエルのほうが認知度は高い状況です。
体の特徴
それでは、イングリッシュコッカースパニエルの特徴についてみていきましょう。
イングリッシュコッカースパニエルは、体高がメスは36~40cm、オスが39~43cm程度、体重がメスは11~15kg、オスが13~15kg程度と、中型犬に分類される大きさです。
彼らは猟犬であるためがっしりとした体つきをしています。
獲物を嗅ぎわけるための鼻は幅広で大きく、また、マズル(鼻口部)は四角く幅広くなっているため獲物をくわえやすいというメリットがあります。
体長よりも体高のほうがわずかに長く、力強い歩き方をします。
耳は垂れ耳で、被毛は長毛です。
毛質は絹のように柔らかく、直毛の個体もいればウェーブがかかった個体もいます。
毛色については、ブラックやレッド、オレンジ、ゴールド、ブラック&ホワイト、ブラック&タン、そしてイングリッシュコッカースパニエル特有のローンパターンという毛色があります。
ローンとは、ブルーやオレンジといった単色に白色が霜降り状に混ざる毛色です。
さまざまな組み合わせを見ると、じつに20種以上の毛色が存在するのです。
アメリカンコッカースパニエルとの違いは?
イングリッシュコッカースパニエルの見た目は、のちにアメリカで改良してできたアメリカンコッカースパニエルと良く似ています。
しかし、アメリカンコッカースパニエルよりも体格がやや大きく、顔の彫りが深い、鼻先が長いといった違いがあります。
イングリッシュコッカースパニエル アメリカンコッカースパニエル
また、毛色もイングリッシュコッカースパニエルのほうがバリエーション豊富です。
それぞれに魅力があるため、人によって好みが分かれるところですね。
寿命
寿命については、12~15年と言われています。
比較的長生きである犬種と言えるでしょう。
性格
さて、次に性格についてみていきましょう。
イングリッシュコッカースパニエルは明るく元気で人懐っこい性格をしています。
社交的で飼い主に対して従順であるため、一緒に過ごす時間が長ければ長いほど愛情深く接してくれます。
そして、感受性が強く寂しがりやな一面もあるので、飼育をする際には室内飼いとし、できるだけ多くの時間を一緒に過ごすと良いでしょう。
また、彼らは非常に遊びが大好きです。
他種の犬とも仲良く接することができますし、子どもとも一緒に遊ぶことができます。
しつけのポイント
イングリッシュコッカースパニエルは賢くもあるので、しつけがしやすく犬を飼うことに慣れていない家庭でも飼いやすい犬種と言えます。
しかし、甘やかしたり服従訓練が中途半端だったりすると、立場が逆転してしまうことがあるので注意が必要です。
ですが、急に大きな声で叱ったりすると、恐怖心から注意散漫な性格になってしまうかもしれません。
なるべく穏やかなリラックスした状態で、しつけを行うのが効果的でしょう。
イングリッシュコッカースパニエルの値段やブリーダーは?
もし、イングリッシュコッカースパニエルを飼育したいという場合は、ブリーダーを探してみてください。
ペットショップでも販売されていますが、アメリカンコッカースパニエルに比べると店頭で見かけることが少ないかもしれません。
子犬の価格については、15~30万といったところです。
血統などにこだわらず予算をできるだけ抑えたいというかたは、里親募集をしている場合もあるのでいろいろと調べてみるとよいでしょう。
イングリッシュコッカースパニエルのブリーダー情報はこちら!⇒https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=124ekokka
飼育にかかる費用
では、イングリッシュコッカースパニエルを飼育していくにはどれくらいのお金がかかるでしょうか?
1つの目安例としては、
・ケージ、サークル...10,000~20,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー6,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌、おやつ代...毎月8,000~15,000円
・トリミング代...1回6,000~10,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった時や避妊手術を受ける際は、その時々で医療費もかかります。
長い目で見た費用面でも、よく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
飼育する際の注意点
ここで、飼育することになった際の注意点についてご説明します。
運動
まず、イングリッシュコッカースパニエルは猟犬であるため、多くの運動量を必要とします。
散歩は1日に2回、1時間程度行うと良いでしょう。
散歩だけではなく、時々ドッグランや広場へ連れて行って思いっきり遊ばせてあげることをおすすめします。
また、頭がいい犬種なので、トレーニングも兼ねた質の高い遊びをするとより楽しいでしょう。
被毛のお手入れ
しつけについては先ほども述べたとおり比較的容易に行えると思いますが、大変なのは被毛のお手入れです。
イングリッシュコッカースパニエルはダブルコートの長毛で、毛質も絹のように柔らかいため丁寧にブラッシングをしてあげる必要があります。
ちょっとでも手を抜くと絡まって毛玉になったりするのです。
また、換毛期には抜け毛も多くなるので、この時期はできれば毎日ブラッシングしてあげると良いでしょう。
頻繁にブラッシングすることで、お互いの絆も深くなることと思います。
美しい被毛を保つためには、月2回程度のシャンプーやトリミングも必要です。
ただ、皮膚の弱い個体もいますので、まずは愛犬に合ったシャンプー選びから始めてください。
また、イングリッシュコッカースパニエルは垂れ耳のため、外耳炎にもなりやすい犬種です。
耳の中も定期的にイヤーローションで拭いてあげてください。
かかりやすい病気
飼育する際に気になるのはかかりやすい病気です。
イングリッシュコッカースパニエルは、残念ながら遺伝性疾患が非常に多い犬種と言われています。
目の病気
まず、毛色の紹介の際に、イングリッシュコッカースパニエルにはローンという特有の毛色があると紹介しましたが、このローンの個体は疾患をかかえやすくなります。
毛色を白くする遺伝子は、聴覚や視覚に障害を起こすことが分かっているのです。
具体的には、白内障や緑内障、進行性網膜萎縮症、チェリーアイなどです。
いずれも放っておくと失明してしまう病気です。
特に緑内障は緊急性があるので、
・愛犬の目が赤くなったり、目全体が膨らんできた、目が濁って見える、物によくぶつかる
といった症状を発見した場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
先天性激怒症候群(レイジ・シンドローム)
そして、ソリッドカラー(単色)の個体は、先天性激怒症候群(レイジ・シンドローム)という病気にかかりやすい傾向にあります。
先天性激怒症候群とは、普段はおとなしい犬が突然攻撃的になり他の犬や人間に噛みついたりすることです。
原因としては、脳の興奮を落ち着かせるセロトニンの量が低下するためとも言われています。
いずれにしても、理由もなく突然怒り出した場合は先天性激怒症候群の疑いがありますので、できるだけ早く動物病院を受診するようにしてください。
股関節形成不全
また、ソリッドカラー(単色)の個体は、股関節形成不全という病気にもなりやすいといわれています。
股関節形成不全になると股関節が不安定になるため、
・後ろ足をうまく折たためない、スキップやウサギ跳びのような動き、歩行時に腰が左右に揺れる
といった症状が見られます。
先天的なものが要因となる事が多い病気ですが、室内犬はフローリングで滑るなどして脚を痛める事も多いようです。
カーペットを敷いたり滑り止めを塗ったりして、脚の負担を減らしましょう。
皮膚病
また、イングリッシュコッカースパニエルは皮膚病を起こしやすい犬です。
アレルギー性、アトピー性皮膚炎、脂漏症などが考えられます。
特に、脂漏症がイングリッシュコッカースパニエルにはよく見られるようです。
脂漏症になると皮脂が過剰に分泌されてしまうため、
・皮膚のべたつき、皮膚からの異臭、脱毛、かゆみ
といった症状が見られます。
皮膚病は、被毛の汚れやダニなどのハウスダストなど、さまざまな要因によって発症することがあります。
愛犬自体もそうですが、居住環境も常に清潔を保つ必要があるのです。
外耳炎
イングリッシュコッカースパニエルは、垂れ耳であるため外耳炎にもかかりやすいので、定期的に耳のチェックをしましょう。
週に一度は、イヤーローションをつけて耳の中を拭いてあげてください。
もし、
・耳が赤く腫れている、異臭がする、ベタベタした耳垢が多い
ようなことがあれば、早めに動物病院へ行きましょう。
慢性肝炎
イングリッシュコッカースパニエルは、遺伝的に慢性肝炎にかかりやすいと言われています。
慢性肝炎は初期の段階では症状が出にくいので、発見が遅れることが多い病気です。
慢性肝炎が進行してくると、
・食欲不振、下痢や嘔吐、体重の減少、黄疸、腹水、けいれん発作
といった症状が現れます。
最終的には、肝硬変を起こして死んでしまう危険性があるので、早めに病院で治療を受けるようにしましょう。
まとめ
イングリッシュコッカースパニエルはイギリスが原産の中型犬で、体高40cm体重14kgほどの大きさになります。
明るく人懐っこい社交的な性格で、人見知りをあまりしないため初対面の人間や他の犬種などの動物にも友好的です。
愛らしい目が魅力的なイングリッシュコッカースパニエル。
世界的にみても非常に人気で、ドッグショーでもお馴染の犬種です。
ただ、気がかりなのは遺伝性疾患の多さです。
イングリッシュコッカースパニエルは、今回紹介した病気の他にも、糖尿病、心疾患、膵炎など、多くの病気にかかる危険性があります。
いずれの病気も早期発見が大切なので、毎日の行動を観察しすぐに異変に気づいてあげられるようにしましょう。
単純にかわいい、という理由だけで飼育すると途中で戸惑うことも多くなるかもしれません。
飼育をする前に是非一度イングリッシュコッカースパニエルについて詳しく調べ、すべてを受け入れてうえで家族の一員として迎え入れると、お互い幸せな日常を送ることができるでしょう。