“世界一頭の悪い犬”、そう言われてしまっている犬がいます。
それはアフガンハウンド。
今ではすっかりドッグショーでもお馴染の犬種ですが、なぜ彼らはそんなひどい呼び名を付けられるようになったのでしょうか?
今回は、このアフガンハウンドの特徴や性格、値段やブリーダーなどについて詳しくみていきたいと思います。
Contents!
アフガンハウンドってどんな犬?
アフガンハウンドは、アフガニスタン原産の大型の猟犬です。
アフガンハウンドは、現存する犬の中で最も古い歴史を持つ犬種と言われ、紀元前4000年頃の古代エジプト時代の遺跡から発掘された品々から、アフガンハウンドに似た犬の存在が確認されています。
また、旧約聖書の『創世記』に登場するノアの方舟に乗った犬という言い伝えもあります。
祖先犬はエジプト東部にあるシナイ半島に生息していた犬と考えられており、古代エジプトで猟犬として飼育されたのちアフガニスタンに渡っていったと言われています。
アフガニスタンの険しい山岳地帯や気温差の激しい厳しい環境にも見事適応し、猟犬や護畜犬として活躍していきました。
そしてその後ヨーロッパへ渡ると、20世紀頃から美しい容姿が注目されショードッグとして改良が重ねられるようになったのです。
なお、アフガニスタンでは現在でも猟犬や護畜犬として活躍しています。
体の特徴
さて、それではアフガンハウンドの特徴についてご説明します。
アフガンハウンドは大型犬に分類される犬種で、体高はメスが63~69cm、オスが68~74cm程度、体重はメスが20~23kg、オスが25~27kg程度になります。
一番の特徴は引きずってしまうほどの長毛で、その毛質は絹のように柔らかい直毛です。
この長い毛は、アフガニスタンにおいて山岳地帯の厳しい寒さから身を守るために得たものです。
毛色はさまざまな色が血統として認められており、ブラックやホワイト、ブルー、レッド、クリーム、ブリンドルなど、実に多くの毛色が存在します。
アフガンハウンドの耳は垂れ耳で、鼻先が長いです。
目は、細長い顔の側面に位置しているため視野が270度と広く、また、1km先の獲物を発見できるほど動体視力に優れています。
そのため、アフガンハウンドは視覚狩猟犬(サイトハウンド)として位置付けられています。
さらに、彼らは山岳地帯で生き抜いてきたため足裏が広く大きく発達し、脚力もあります。
足場の悪いところでもかなりのスピードで獲物を追いかけることができるので、アフガンハウンドが長く狩猟犬として活躍してきたのもうなずけますね。
寿命
アフガンハウンドの寿命は12~14年と言われています。
大型犬としては比較的長生きできる犬種であるようですね。
性格
次に、アフガンハウンドの性についてですが、彼らは独立心が強く、常に毅然とした態度をとっています。
感情を表に出さないため、たとえ一緒に遊んで楽しくてもそっけない態度をとることが多いです。
アフガンハウンドは、長く狩猟犬として活躍している間、人間が追いつけない場所で獲物を追い詰めることが多く、自分で判断して行動するようになっていきました。
決して人間にこびることがなく常にマイペースなので、猫のような性格とも言われています。
そのため、飼育する際はしつけが難しいです。
人間への服従心が低いため、命令に従わないことがあるのです。
冒頭で述べたような“世界一頭の悪い犬”と呼ばれるのは、このような強い独立心ゆえのことなのです。
とはいえ、友好的でいたずら好きな一面もあります。
幼犬のうちにしっかりとしたしつけを行えば、良い関係性を築くことができるでしょう。
アフガンハウンドの値段やブリーダーは?
もし、飼育したいとなれば、ペットショップにはほとんど売られていないのでブリーダーを探してみてください。
まれに、里親募集をしていることもあるようです。
ブリーダーから子犬を購入する際の価格は、血統や毛色によって大きく変わりますが15~50万円程度のようです。
自分好みの毛色の子犬を探すのは少々大変かもしれませんが、後に後悔しないためにもじっくり相談しながら購入してください。
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飼育にかかる費用
アフガンハウンドは大型犬なので、飼うための設備や餌代などの費用が他の犬に比べると高額になってしまいます。
具体的な費用例としては、
・ケージ...20,000~100,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー10,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌代...毎月15,000~30,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった際も大型犬の医療費は高額になりがちですので、費用面でもよく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
しつけのポイント
まず、先ほども述べたようにアフガンハウンドを飼うのに大変なのはしつけです。
独立心が強いため、服従訓練はかなり根気のいる作業になるでしょう。
また、彼らは感受性も強いため、ただ怒ってばかりでは一向に従ってくれません。
ゆっくり時間をかけて、しっかりと愛犬と向き合っていく必要があります。
正直、犬を飼うことに慣れていない方にはお勧めできない犬種です。
もしどうしても飼いたいという場合は、トレーナーに指導してもらうと良いでしょう。
飼育する際の注意点
ここで、アフガンハウンドを飼う時の際の注意点についてご説明します。
飼育環境
気をつけるべき点の1つは、飼育環境です。
アフガンハウンドは長く厚い毛を持っているため、寒さには強いのですが暑さに弱い犬です。
したがって、基本的には室内で飼育し、夏場はエアコンをつけて快適な湿度や温度を保つようにしてあげましょう。
運動
ただ、室内飼いとはいっても、しっかりとした運動はさせる必要があります。
アフガンハウンドは猟犬であるため、毎日長時間の運動を必要とします。
1日2回、1時間程度の散歩をさせるだけではなく、日常的にドッグランなどに連れて行って全力疾走させることが理想的です。
運動不足によりストレスが溜まると猟犬としての血が騒ぐので、可能な限り体を動かす機会を設けましょう。
被毛のお手入れ
最後に、アフガンハウンドはシングルコートの長毛であるため、時間をかけて丁寧にお手入れする必要があります。
毛質は細く絡まりやすいため、ブラッシングは出来るだけ毎日行い、月に1回はシャンプーしてきれいにしてあげましょう。
美しい毛を保つためにもシャンプー後のドライヤーにも手を抜かず、しっかり乾かしてあげましょう。
お手入れが難しいという方は、定期的にトリミングサロンでカットしてもらうと良いかもしれません。
アフガンハウンドがかかりやすい病気
アフガンハウンドを飼育するにあたって、かかりやすい病気についても把握しておく必要があります。
白内障
アフガンハウンドがかかりやすいと言われているのは、若年性の白内障です。
2歳ころから発症することがあるので、もし愛犬に、
・壁や家具にぶつかる頻度が増えた、目が白濁して見える
といった症状があらわれたら、早めに動物病院を受診してください。
外耳炎
また、アフガンハウンドは垂れ耳であるため外耳炎になりやすいです。
特に夏場は蒸れやすくなるので、定期的にイヤーローションをつけて拭いてあげると良いでしょう。
もし、耳が赤く腫れていたり異臭がするようなことがあれば、早めに動物病院へ行きましょう。
甲状腺機能低下症
他にも、甲状腺機能低下症が発症しやすいと言われています。
甲状腺機能低下症はゆっくりと進行していく病気なので、毎日観察を怠らず、
・元気がなくなってきた、左右対称性の脱毛ができた、尾の毛が抜ける、皮膚の乾燥、体重の増加、寒さに弱くなる
といった異変をすぐに察知することが大切です。
股関節形成不全
そして、大型犬特有の股関節形成不全という病気もあります。
股関節形成不全になると、
・後ろ足をうまく折たためない、スキップやウサギ跳びのような動き、歩行時に腰が左右に揺れる
といった症状が見られます。
先天的な要因が7割を占める病気なので、ブリーダーから購入する際には親犬がこの病気にかかっていないかあらかじめ確認すると良いでしょう。
また、先天的なものが要因でなくても、室内犬はフローリングで滑るなどして脚を痛めることが多いです。
カーペットを敷いたり滑り止めを塗ったりして、脚の負担を減らしましょう。
胃捻転
最後に、大型犬は胃捻転にも注意する必要があります。
胃捻転は、症状が現れたらすぐに処置をしなければならないほど緊急性の高いもので、死亡率および再発率が高い命に関わる病気です。
胃捻転の原因には、
・早食い、食後すぐの運動、ストレス、加齢
などが挙げられます。
大型犬は深い胸を持っているため、胃の中のガスを吐きだすことが難しいため、特に発症しやすいと言われています。
食後しばらくしたら、
・お腹が膨れてきた、何度も吐こうとする、落ち着きがない
といった症状がみられた場合は、一刻も早く動物病院へ行きましょう。
胃捻転を防ぐためには、食後すぐの運動は避け、早食いや水のがぶ飲みをさせないといった対策をしていきましょう。
まとめ
アフガンハウンドはアイルランド原産の大型犬で、体高68cm体重25kgほどの大きさになります。
独立心が強くマイペースな性格なので、人間の命令に従わないことも多いため“世界一頭の悪い犬”と呼ばれることもあるようです。
かつては猟犬として、今はショードッグとして人間と深く関わってきたアフガンハウンド。
人間の都合のいいように改良されてしまったりしていますが、古代エジプト時代からずっと人間とともに生き抜いてきたことを思うと、非常に愛されるべき犬種であると言えるでしょう。
現代でペットとして飼育するには、少々手がかかるかもしれません。
しかし、それでも飼う価値は十分にある犬種だと思います。
中途半端な気持ちでは飼うことはできませんが、愛犬にじっくり時間をかけられる余裕のある方は、是非一度検討してみてはいかがでしょうか。