アメリカで闘犬用として生み出されたアメリカンピットブルテリア。
アメリカで闘犬が禁止された後には、ペット用として新たにアメリカンスタッフォードシャーブルテリアという犬種が生み出されましたが、アメリカンピットブルテリアも愛犬家によって今でも飼育されています。
闘犬用の凶暴な犬を飼育するというのはちょっと勇気がいりそうですが、果たしてどうなのでしょう。
今回は、このアメリカンピットブルテリアの性格や価格、しつけのポイントや注意したい病気について詳しくみていきたいと思います。
Contents!
アメリカンピットブルテリアってどんな犬?
アメリカンピットブルテリアは、イギリス原産のスタッフォードシャーブルテリアとブルドッグをベースとして、闘犬として最強の犬を作り出すことを目的として生み出された犬種です。
当時、強い犬を作り出すための交配は門外不出の秘密であったため、他にどの犬種と掛け合わせたのか詳細については不明なままです。
アメリカンピットブルテリアは闘犬の他、家畜をオオカミやクマなどから守るための作業犬としても活躍するようになりました。
しかし、20世紀頃には闇で犯罪に手を染める者が護衛としてアメリカンピットブルテリアを所有するようになったため、次第に凶悪で危険な犬というイメージがつくようになってしまいました。
また、咬傷事故も絶えなかったことから、現在はヨーロッパ各国、アジアの一部の国々、アメリカの一部の州や市でアメリカンピットブルテリアの所有および飼育が禁止されています。
なお、日本では法律の上では特に規制がなく、飼育頭数は増加しているようです。
体の特徴
それでは、アメリカンピットブルテリアの特徴についてご説明します。
アメリカンピットブルテリアは通称ピットブルと呼ばれており、前述したとおり闘犬として人為的に作り出された犬種です。
中型犬に分類されており、体高は46~56㎝程度、体重は14~36kgになります。
中型犬の割には少々大きいかもしれませんね。
闘犬用として作り出されたため体は筋肉質で骨格もがっしりとしています。
大きな頭部、離れた両目、短い鼻先、大きく力強い顎が特徴で、見るからに強そうな顔立ちをしています。
耳は垂れ耳で尻尾も垂れていますが、闘犬としてより強く見せるために断耳、断尾することがあるようです。
被毛は短毛で少し艶があります。
毛色については、ブラックやホワイト、ブリンドル、ブラック&タンなど、さまざまな色の個体が存在します。
寿命
なお、寿命については8~15年と言われています。
中型犬としては寿命が短い印象ですが、闘犬として短い生涯を終える個体も含まれたデータであるため、ペットとして飼育される場合は12歳前後と考えて良いでしょう。
性格
次に、アメリカンピットブルテリアの性格についてです。
現在のアメリカンピットブルテリアはペット用として改良されているため、闘犬として活躍していた時代よりは穏やかですが、それでも闘争心は強く攻撃的な部分があります。
しかしながら、飼い主に対しての忠誠心は強く、無邪気で愛情深い一面もあります。
賢く我慢強い犬種なので、幼犬のうちにしっかりとしつけを行えば、飼い主の言うことを良く聞き良好な関係性を築くことができるでしょう。
子どもにも優しく接することができますが、遊ばせる際には必ず飼い主はそばで見守るようにしてください。
アメリカンピットブルテリアの値段やブリーダーは?
このように、初心者には少々難しい犬種ではありますが、もし飼育したいという方がいらっしゃいましたらブリーダーを探してください。
日本において法律による規制はないものの、危険な犬ではあるためペットショップでは売られていません。
飼育が難しい犬種であるため、可能であればしつけの指導等をしてくれるブリーダーから購入すると良いでしょう。
子犬の価格は10~20万円ですが、血統の良い子犬の場合は30万近くするそうです。
アメリカンピットブルテリアのブリーダー情報はこちら!⇒https://www.dogoo.com/cgi/wssn/wssn_sdg.cgi?category=014astft
飼育にかかる費用
では、アメリカンピットブルテリアと暮らしていくにはどれくらいのお金がかかるでしょうか?
目安例としては、
・ケージ、サークル...10,000~30,000円
・首輪、リード...3,000~5,000円
・トイレ用品...トレー6,000円+シート毎月6,000円
・滑り止めなどの床材...30,000~50,000円
・ケア用品(ブラシ、シャンプーなど)...5,000円
・餌、おやつ代...毎月10,000~20,000円
・狂犬病やフィラリアの予防接種など...毎年10,000~20,000円
といった費用がかかることが考えられます。
また、ケガや病気をしてしまった時や避妊手術を受ける際は、その時々で医療費もかかります。
長い目で見た費用面でも、よく考えたうえで飼うようにしてくださいね。
飼育する際の注意点
ここで、アメリカンピットブルテリアを飼育する際の注意点についてみていきましょう。
徹底したしつけと服従訓練を!
アメリカンピットブルテリアは何度も言うように闘犬としての気質が強い犬種です。
中途半端なしつけでは咬傷事故が起きてしまう危険性が高いです。
そのため、子犬のうちから社会性を身につけさせ、徹底した服従訓練を行う必要があります。
主従関係を明確にし、いざというときに飼い主が制御できる関係性が何より大切なのです。
しつけに自信のない方は、事故を未然に防ぐためにも飼わないことをお勧めします。
しつけさえしっかりと行えば、知らない人に対しても友好的ですが、しつけが不十分だと攻撃性が出て咬んでしまうことがあります。
実際に、アメリカンピットブルテリアに襲われて死傷する事故が多発しているのです。
そのうち家族が襲われるケースが6~7割、家族外が襲われるケースが3~4割です。
中途半端なしつけだと、飼い主自身まで襲われることがあるのです。
アメリカンピットブルテリアを飼育する際には必ず逃げさせないような頑丈な柵をし、訪問客にも注意を促してください。
もちろん、散歩の際も決してリードを離さないようにしましょう。
運動
次に、アメリカンピットブルテリアには豊富な運動量が必要です。
運動不足でストレスが溜まると攻撃性が出てしまうこともあるので、1日2回、1~2時間の散歩を行ってください。
引っ張る力が強いため、首輪とリードは頑丈なものを選び、愛犬が興奮しても力で制御できる方が散歩するほうが良いでしょう。
多くの運動量が必要となるとドッグランに行きたくなると思いますが、アメリカンピットブルテリアは他種の犬に攻撃性を示してしまうため控えたほうが良いかもしれません。
室内飼い
飼育環境については室内飼いを基本とします。
彼らは皮膚が弱く、寒さに弱いのです。
家族との絆を深めるためにも室内で一緒に過ごすほうが良いでしょう。
ただ、ずっと室内にこもりっきりなど、ストレスを与えないように気を付けてください。
被毛のケア
被毛のケアについては、短毛種なので楽です。
週に1回ブラッシングを行えば、被毛の艶を保つことができるでしょう。
アメリカンピットブルテリアかかりやすい病気
さて、気になるのはかかりやすい病気です。
アメリカンピットブルテリアは、交配のベースとなったスタッフォードシャーブルテリアやブルドッグといった犬種の遺伝的疾患を受け継いでおり、闇で繁殖されていたことからその疾患が発症しやすい傾向にあります。
眼病
まず、気をつけなければならないのは緑内障や白内障、チェリーアイなどの眼病です。
白内障はご存知の通り目の水晶体が白く濁ってしまう病気です。
放っておくと失明する恐れがあるため、早期に発見して治療を行うことがなにより大切です。
早い段階で治療を開始すれば進行を抑えることができるので、常に愛犬を観察し、
・愛犬の目が赤くなったり、目全体が膨らんできた、目が濁って見える、物によくぶつかる
といった症状が見られたらすぐに動物病院で診てもらってください。
股関節形成不全
また、股関節形成不全のもよく見られます。
股関節形成不全とは、太ももの骨と骨盤を結合させる股関節の形が異常である状態の病気です。
子犬の頃は目立った症状がなく、成長とともに異常が見られ病気に気づくことが多いです。
股関節形成不全になると股関節が不安定になるため、
・後ろ足をうまく折たためない、スキップやウサギ跳びのような動き、歩行時に腰が左右に揺れる
といった症状が見られます。
股関節形成不全は先天的な要因もあるため予防しきれないかもしれませんが、子犬の頃から適度な運動、良質な食事を心がけて筋肉や骨格を鍛えましょう。
そして、肥満も発症させる原因にもなるので、体重管理はしっかり行ってください。
皮膚病
アメリカンピットブルテリア皮膚が弱く皮膚病を起こしやすい犬です。
アレルギー性、アトピー性皮膚炎、毛包炎などが考えられます。
皮膚病は、被毛の汚れやダニなどのハウスダストなど、さまざまな要因によって発症することがあります。
愛犬自体もそうですが、居住環境も常に清潔を保つ必要があるでしょう。
日頃から被毛の状態もよくチェックするようにしてください。
まとめ
アメリカンピットブルテリアはアメリカ合衆国が原産の中型犬で、体高50cm体重25kgほどの大きさになります。
飼い主に対しての忠誠心は強く無邪気で愛情深い性格ですが、もともと闘犬のため闘争心は強く攻撃的な部分もあります。
日本ではあまり見かけることのないアメリカンピットブルテリア。
強そうだけど優しさも垣間見えるその表情を見ると、とても魅力を感じる犬種ですね。
ただ、いくらペット用として改良されてきていても、闘犬としての攻撃性は決して失われていません。
もしどうしても飼育したいという方は、何があっても責任を持つという覚悟を持たなければなりません。
万が一咬傷事故を起こしてしまったら、愛犬自身にも悲しい運命が待ち受けているでしょう。
そうならないためにも、飼育を決断したならば深い愛情を持ってしっかりとしつけを行い、愛犬が生涯幸せに過ごせるよう家族で協力しあっていきましょう。
また、アメリカンピットブルテリアは今回紹介した病気の他にも心臓病や腫瘍にかかりやすいと言われています。
心臓病については放っておくと命を落とす危険性がありますし、腫瘍も発見が遅れると治療が難しくなります。
アメリカンピットブルテリアなどの闘犬は痛みに我慢強いところがあるため、飼い主が日頃からよく観察して異常を早期発見することが大切なのです。